【インタビュー:2】高良健吾 |
南極ドームふじ基地の観測隊員たちの、1年半にわたる究極の共同生活を描く映画『南極料理人』。主演の堺雅人をはじめ、きたろう、生瀬勝久ら、個性派キャストがそろう中、最年少で“隊員”に加わった俳優・高良健吾は「本当に素敵な先輩方に囲まれて、話を聞いているだけで面白かったです。撮影現場は僕にとって、癒しの場所でした」と振り返る。
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実際に基地の調理担当だった西村淳氏のエッセー『面白南極料理人』が原作。堺演じる主人公は基地の料理人で、彼の作る料理が単身赴任の隊員たちを癒やし、元気づける。伊勢エビのフライ、ローストビーフ、手打ちラーメンなど、目にもおいしい様々なメニューがスクリーンいっぱいに映し出される。高良は試写を見た後、「焼き肉を食べに行った」そうだ。
同作は南極の基地という“非日常”的な場所で営まれる“日常”を淡々と、ほどよいリズム感で描く。そこから垣間見える8人の隊員それぞれの人生を凝縮したドラマが面白い。
高良が演じる<兄やん(にいやん)>は、究極の遠距離恋愛の顛末が見どころ。「今回の作品は爆笑ではなく、クスっと笑えるコメディ。この手の映画に出るのは初めてでした。スクリーンの向こう側にいる観客に<ここで笑ってください>というような演技はしたくなかった」と<笑い>のさじ加減に悩んだ。
しかし、撮影現場に入れば、クスっと笑える芝居が達者な俳優陣ばかり。「僕は何も考えずに、その場の空気感に身を置くことに集中しました」。さらに、沖田監督も「演出も丁寧で細かかったのですが、芝居が始まったら役者たちに任せてくれました。僕がやることも全部受け入れて、可能性を広げてくれた」という。この作品の中で、高良が行き着いたのは「真剣にやりたいと思いました。『渋谷に行きたい』という台詞を言うシーンでは、真剣に『渋谷に行きたい』と言いました。その真剣ぶりが、人間くさくて滑稽に見えて、お客さんがクスっと笑ってくれたらいいな」。
ひとつ、ひとつの現場でいろんなことを吸収していく、今、まさに伸び盛り。「何かを吸収すると、何かが抜けていっている気がする。でも、それは仕方ないことだと、思えるようになったことが成長したことでもあるかな。昔ほど、自分に言い訳しなくなった。全部、自分のやっていることだし、一生懸命やっているし。だから、最近、現場を楽しめるようになりました」。
映画『南極料理人』はおいしそうな料理とともに、役者たちも楽しんでいる様子が伝わって、観客にとっても癒しになりそうだ。
>>【インタビュー:1】堺 雅人
高良健吾 こうら・けんご 1987年熊本県出身。2006年に『ハリヨの夏』(中村真夕監督)で映画デビュー。その後『M』(07年)、『サッド ヴァケイション』(07年)、『ひゃくはち』(08年)、『蛇にピアス』(08年)、『禅 ZEN』(09年)、『フィッシュストーリー』(09年)、『ハゲタカ』(09年)、『蟹工船』(09年)など、注目作に立て続けに出演し、一躍注目を集める。今後公開される作品に『BANDAGE』(2010年/小林武史監督)、『ソラニン』(2010年/三木孝浩監督)、『ノルウェイの森』(2010年/トラン・アン・ユン監督)などがある。 |
『南極料理人』
氷点下54℃、標高3810m、南極にあるドームふじ基地に観測隊員として8人の男たちがやってきた。知られざる南極での生活や仕事、離れている家族や恋人を思う気持ちを募らせながらも、次第に絆を深めていく隊員たちの日々を描く。原作は、実際に南極観測隊員として調理を担当していた西村淳のエッセイ。 堺雅人演じる主人公・西村の仕事は、隊員のために毎日料理を作ること。伊勢エビや和牛、フォアグラを使った豪華な料理から、おにぎりやラーメンといったごく身近な料理まで、目にもおいしい料理の数々がスクリーンを彩る。 脚本・監督:沖田修一 出演:堺雅人 生瀬勝久 きたろう 高良健吾 西田尚美 豊原功補 ほか 原作:西村淳『面白南極料理人』(新潮文庫、春風社刊) 配給:東京テアトル 公式サイト |
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2009/08/19