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「演技に100点なんか無い!」渡辺謙が自身の“役者論”を明かす

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 近年は米ハリウッド映画に多数出演するなど、国際派俳優としての地位を確立した俳優・渡辺謙が、久しぶりにドラマ主演を果たしたテレビ朝日開局50周年記念ドラマ『刑事一代〜平塚八兵衛の昭和事件史〜』(20、21日)がいよいよ放送される。ORICON STYLEの取材に応じた渡辺は、“捜査の神様”とまで呼ばれた、警視庁きっての昭和を代表する名刑事・平塚八兵衛について話し、さらに自身のストイックなまでの“役者論”について明かした。

“伝説の刑事”への想いを明かす渡辺謙 

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 渡辺は、試写を観終わった記者に対し、開口一番「作品はどうでしたか? いやぁ、若い方の率直な感想を是非聞きたいんですよ!」と屈託のない笑顔を見せる。渡辺が演じた平塚八兵衛は、警視庁捜査一課で“落としの八兵衛”“ケンカ八兵衛”“鬼の八兵衛”など、さまざまな異名を持ち、その強烈なキャラクターは、これまでに数多くのテレビドラマで主人公刑事のモデルになってきたと言われている。手掛けた事件は殺人だけで124件にものぼり、“帝銀事件”“下山事件”“吉展ちゃん事件”“三億円事件”など、戦後事件史を飾る大事件のほとんどを担当した、まさに“伝説の刑事”といえる存在だ。

 「俳優として凄く興味のある人物でした。平塚さんって、決してわかりやすい正義のヒーローではないんですよ。事件解決のためなら、上司や同僚と喧嘩沙汰もいとわないですしね。そんな人間臭い部分に強く惹かれたんです」と平塚八兵衛の魅力に触れる。撮影でも激しい乱闘シーンで生傷が絶えなかったとか。「いい年したオジサンたちが本気になってぶつかり合ってね(笑)。ある時なんか、撮影の合間に監督(石橋冠)と別のシーンの撮影について真剣に話していたら、スタッフの方が『そろそろ準備出来ました』って報告にきたんですけど、監督が『今はそれどころじゃねえ!』って(笑)。いろんな意味で“贅沢な現場”でしたね」。

 同作のクライマックスとなるのが、吉展ちゃん誘拐事件の取調べシーン。渡辺演じる平塚と、犯人役の萩原聖人による息詰まる心理戦は圧巻。4日間に渡った収録ではその緊張感を途切れさせないため、スタジオと宿泊ホテルのみの往復だったそうで「閉塞感と焦燥感が漂う、異質な現場でした。本当に神経がすり減ったし、(萩原)聖人も凄い演技で応えてくれましたよ」と満足げに振り返る。

 劇中で渡辺演じる平塚が「刑事には100点か0点しかねえんだ……」という印象的なセリフを語るシーンがある。渡辺にとっても、役者とは常に“点数”との戦いなのだろうか。「役者は逆に点数が付けられない職業だと思います。自分自身で満足感があったとしても、視聴率や観客動員数としての“点数”が付いてしまうときもありますし。もしかしたら永遠に100点は取れないのかもしれない……」。

 近年はアメリカに拠点を移し『ラストサムライ』『バットマン ビギンズ』などのハリウッド映画に出演。また来年公開予定の『インセプション(原題)』では、レオナルド・ディカプリオと初共演することも発表されるなど、“映画俳優”としての位置付けが強い渡辺だが、テレビドラマ出演に対して、抵抗はあったのだろうか。「いえ、まったくないですね。僕のスタンスは、映画であれドラマであれ、自分が出るべき作品だと感じたら引き受けます。そうすれば今回の作品のように心の底から誇れる作品と出会えますからね」と胸を張って語る。俳優としてベテランの域に達しながらも、飽くなき欲求と、演技に対する枯渇は年々増すばかり。そんな彼の“役者バカ”ぶりは今作でも十分に堪能することができるはずだ。

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