ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS

孤高のカメラマン木村大作、69歳初監督作品で『沖縄国際映画祭』に風穴

■その他の写真はこちら

 沖縄・北谷町アメリカンビレッジで開催された『沖縄国際映画祭』の最終日、最後の最後で1人の男(69歳)が観客を完全に魅了した。22日(日)夕方、授賞式(閉会式)後に唯一行われた映画『剣岳 点の記』のレッドカーペットに木村大作監督と俳優・香川照之が登場、直後に臨んだ舞台あいさつで木村監督は冒頭から一切マイクを使わず乾坤一擲(けんこんいってき)の“熱意”を発信。開催期間の4日間を包んだ空気に文字どおり風穴を開け、熱くたぎるコメントに惜しみない拍手が送られた。

特別招待『剣岳 点の記』のレッドカーペットに登場し、舞台あいさつを行った香川照之 

特別招待『剣岳 点の記』のレッドカーペットに登場し、舞台あいさつを行った香川照之 

写真ページを見る

 明治40年(1907年)、日本地図最後の空白地点を埋めるために命を賭けて前人未到の難所・剣岳(富山・飛騨山脈=北アルプス=立山連峰にある標高2999メートルの山)に登った男たちや家族、絆を描いたドラマ。原作は新田次郎の同名小説。『八甲田山』『復活の日』をはじめ数々の著名作品の撮影監督を務めてきた木村氏が、映画生活50年目にして初めてメガホンをとった。

 最低体感温度氷点下40度超。“本物の映像”にこだわり100年前の測量隊の“過程”を忠実に再現するという撮影に香川は「僕の人生で一番辛い撮影でした。生きて帰って来られたのが不思議。間違いなく映画史に残る1本」と振り返ると、木村監督は「この映画は本物です。全てが本物の画なので、今どきの映画とは違いますが何かを感じとれるはず」と期待を込めた。

 実際の測量隊と同じ7月13日に登山を試みたが、山頂で6時間待つも天候により撮影を断念。その日は奇しくも木村監督の誕生日だったが、4日後に撮影が成功したことから木村監督はスタッフ、キャストを前に「7月17日を僕の誕生日に変える!」と宣言。実際に区役所に申請したものの却下されたという破天荒なエピソードも香川により披露された。

 初監督ということで、いわば公の前で初めて持ち前のキャラクターにスポットライトが当たった木村監督は終始、観客や報道陣を気合で圧倒。あいさつの冒頭で香川は「海も太陽も出てこない、雪だらけのこんなマジメな映画が何故『沖縄国際映画祭』のクロージングに選ばれたかわからない」と話していたが、いい意味でその“特異”なキャラクターは映画祭の最後を飾るのに十分だった。

 フォトセッション時には「真ん中の席空いてるんだから、前の人は観づらいからそっちに移んな」とやり、香川は「思ったことは全部口にしてしまう監督なんです」とフォローを入れ笑いに変えた。そんな香川も木村監督に触発され、最後はマイクを固辞し「命をかけて山に登り、降りてきました。命がけの作品です」と生声を館内に響かせていた。

◆話題作が続々登場!「沖縄国際映画祭」特集

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索