一見すると、綾瀬はるかをフィーチャーしたゆずのプロモーション・ビデオかと錯覚をしそうなほど、彼らの楽曲「ストーリー」が大々的に使われているトヨタ自動車「ラクティス」のCM。中・高校生層の選ぶ「タイアップ曲が印象的なCM」において1位を獲得した。かつては洋楽を使用するのがほとんどだった車のCM曲だが、最近では邦楽の起用が目立ち、そんなCM曲が若者に人気を得ている形だ。車の高級志向がカジュアル志向に変化していることと関係がありそうだ。

　「元気で爽やかな感じがよかった」（千葉県・16歳・女性）「爽やかな歌が車のCMにぴったりだし、頭に残るから」（神奈川県・16歳・女性）など、曲の持つ爽やかさが支持されているようだ。明るく開放的な曲調が、春の訪れを予感させ、この季節を心待ちにしている学生層を刺激したともいえる。

　今回の調査では、この「ラクティス」以外にも自動車CMからの上位ランクインが目立った。3位にはガガガDXがテレビアニメ『まんが日本昔ばなし』のエンディグテーマ曲をカバーした、日産「セレナ」の「にんげんっていいな」がランクイン。根強い人気を見せる富士重工業「SUBARUインプレッサ」のCM曲「リンク」は、いまだ4位にランクインする人気ぶり。同じ富士重工業「SUBARUステラ」の「閃光少女」以上の人気を集めたのは、トヨタ自動車「シエンタ」であたたかな空気を作り上げた「尻取りRock’n Roll」の替え歌という布陣だ。

　「ガガガDXが歌うことによって、懐かしい曲も実際のコマーシャルから“冒険”という言葉が結びついてくる気がして非常にマッチしていると思う」（神奈川県・17歳・女性／「にんげんっていいな」）「何回聞いても飽きない」（東京都・18歳・女性／「リンク」）「安田成美が運転しながら歌っている曲がおもしろく、父に昔流行った曲だと聞いて興味を持った」（埼玉県・18歳・男性／「尻取りRock’n Roll」）。

　これらのように日本語楽曲を使った車のCMが若年層から人気を呼んでいる。車が高級感をアピールしていた時代には洋楽中心の選曲だったことを考えると、車そのもののニーズとマーケットに新たな変化が生まれているのかもしれない。

■3月度CMタイアップ曲好感度ランキング（中・高校生）

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（2008年2月4日〜2月8日、1都6県在住の中・高校生、各300人、計600人にインターネット調査したもの）