10月8日に74歳で死去したシンガー・ソングライターで「アリス」のリーダー・谷村新司さんを送る会『喝采』が11日、東京・グランドプリンスホテル新高輪「飛天」で行われた。会が終わった後に、歌手の武田鉄矢(74)が取材に応じた。 武田は谷村さんとの関係について、26歳ぐらいのこととして「1曲だけヒット曲があったんだけど、その後、まったく売れなくなりまして食えなくなっちゃったんです。前の年に紅白に出て、次の年に食えなくて原宿で皿洗いをした。それで、もう限界かなと思った時に声を掛けて『うちの事務所に来ないか』と言ってくれたのが谷村新司だった」と振り返る。そして「彼の事務所に入って、再起することができた。だから恩人。拾ってもらった。彼はいい男で事務所の社長に我々3人の給料まで掛け合ってくれた思い出があります。その時の気遣いは生涯忘れません」と感謝の思いを語った。 掛けたい言葉を問われると「お疲れさん」という。「若かったので、ライバルとして彼に負けないぐらいいい歌を作りたいと張り切ったけど、もう負けっぱなしです」と笑う。「彼が軽快な『チャンピオン』を作った時に、私が作った対抗馬が『あんたが大将』ですから。実力の差がわかります(笑)。テレビのコマーシャルになるから旅の歌を作れと言われて、私が作ったのが『思えば遠くへ来たもんだ』で、彼が作った歌が『いい日旅立ち』ですから。この楽曲の差を見れば、彼には挑んでも挑んでも勝てないライバルでした」となつかしむ。「生きているうちに『勝ったぜ!』と言えるいい歌を作りたかったんですが、間に合いませんでした」と偲んでいた。 送る会は、森喜朗、長谷川一明、千住明、黒柳徹子、加山雄三、石澤顕、都倉俊一、湯川れい子、日枝久氏が発起人となって執り行われ、堺正章、デーモン閣下、五木ひろし、ゆずら親交のあった著名人や関係者約600人が別れを惜しんだ。