Mr.Childrenが前作『I ♥ YOU』以来、約1年半ぶりに13thアルバム『HOME』をリリースした。今作には音楽を愛している彼らの日々の生活から生まれた音と言葉が刻まれている。
この『HOME』は、とても優しくて温かいアルバムだ。テーマもコンセプトもあえて決めずに、大好きな音楽に触れていたいという思いだけでスタジオに通っていた4人が奏でた音楽には、誰もが感じているような日常の出来事が描かれている。前作『I
♥
YOU』や前々作『シフクノオト』でも、彼らは思いのままに自分たちの鳴らしたい音や心地いいメロディ、まっすぐな思いを届けてくれていたけれど、『HOME』はもっともっと人間的かもしれない。彼らはミュージシャン(アーティスト)であるけれど、そんな肩書きみたいなものの前に、一人の人間として感じたことを、差し引きすることも付け加えることもせずに音楽にした。だから、もしかしたらつじつまの合わない所もあったりするのかもしれない。けれども所詮人間なんてつじつまの合わない生きかたを多少はしているんだし、だからこそ人間っぽいな、その人らしいなと思えるんだと思う。
このアルバムの中には“祈り”“祈る”という言葉が何度か出てくる。夢や希望や願いは生きていくなかではとても大切なものではあるけれど、桜井和寿はそれらよりも“祈り”“祈る”という言葉を歌詞のなかに刻んでいた。現実にそうすることを課せられているんじゃない。結果を求めるのでもない。祈りは、ただただその思いがそこにあるだけで浄化されるものだと思う。きっと桜井和寿はその思いだけを届けたかったんじゃないだろうか。
シングルにもなった「しるし」(アルバムでは12曲目に収録)もそうだ。愛情が高まった2人の物語なのか、別れてしまった2人の物語なのか、そのどちらにも受けとれる詞を持ったこの歌は、ただ中心に“想い”があるラブソングだ。1曲目に収められた「叫び
祈り」だって、叫びたいという衝動をそのまま注いだ作品だし「PIANO
MAN」(6曲目)なんて、そんなタイトルを持ちながらブラスを全面的にフィーチャリングした曲になったのにも関わらず、曲が生まれた時の仮タイトルのまんまだ。“笑い声”“笑う”“笑顔”etc・・・。この言葉も『HOME』にはいくつもある。今までの作品にだって何度も登場しているけれど、なんだかいまのMr.Childrenにはこの言葉がいちばん似合っていると思う。日々の生活で感じていることが、何気ない、ありふれた思いだったとしても、その思いの一つひとつに優しさと温かさがある。その思いが日々の笑顔や小さな幸せを形作っている。決して特別な出来事やでっかいメッセージは歌っていなくても、大切な思いや幸せは力強くてゆるぎのないものとして『HOME』の核になっていた。
彼らは『HOME』を携えて、5月から全国ツアーをスタートさせる。今回は、彼らのプロデューサーである小林武史が、初めてMr.Childrenのツアーに参加することになっている。このアルバムの肌ざわりと同じようにとても温かで、柔らかで、優しいステージを生んでくれるだろう。その場所は、きっと祈りと笑顔にあふれたライブに違いない。そして、会場に訪れた人たちが、Mr.Childrenの歌を彼らと一緒に笑顔で歌うライブになるんじゃないだろうか・・・。
(文:松浦靖恵)
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