表面的なことを歌っても、見透かされる
──「YELL」は合唱コンクール(『第76回 NHK全国学校音楽コンクール』中学の部・課題曲)のために制作した曲なんですよね?
【水野】 はい。昨年はアンジェラ・アキさんの「手紙」が課題曲だったんですけど、「2009年は、いきものがかりさんに」ってお話をいただいて。今年のキーワードは“ジャンプ”だったんですよ。アップテンポで明るい曲を求められているのかなと思ったんだけど、とはいえ、「自分が中学生のときはそこまで元気で明るい感じでもなかったよな」って思って。
【山下】 もっとヒネくれていましたからね。合唱とかもマジメに歌わないタイプだったから、よく女子に怒られてました(笑)。
── 一番きつい時期かもしれないですよね。将来のことなんて何もわからないし、友達や親との関係も複雑になっていくし。
【水野】 だから“夢は必ず叶う”とか“がんばれば何でもできる”なんて歌えないなって。表面的なことを歌っても、見透かされるだろうし。
──安易な応援歌ではなく、リアルな言葉が並んでますよね。<ありのままの弱さと 向き合う強さを つかみ 僕ら 初めて 明日へと 駆ける>というフレーズもそうだけど。
【水野】 自分が中学生のときって、“ジャンプしたいと思っても、どうしたらいいかわかんない”って感じだったと思うんですよね。きっと、今もそういう人のほうが多いんじゃないかなって。
──なるほど。実際に中学校に行って、彼らが歌う「YELL」を何度も聴いてるんですよね?
【吉岡】 そうです。中学生たちが歌う「YELL」って、欲も気負いも計算もないんですよね。同じ気持ちを持った仲間と、好きな歌を歌う――それだけなんですよ、ホントに。
【山下】 純粋ですよね。聖恵もきっと、こんな感じだったんだろうなって思ったし。
【吉岡】 合唱部でしたからね。今の自分がピュアじゃないとは思わないけど(笑)、“こういうふうに歌おう、こんな感じで聴かせよう”っていう気持ちがあったことに気づいたんですよ、中学生たちの歌を聴いて。それはすごく大きいですね。
──歌の原点を見つめ直す、というか。そして「じょいふる」は「YELL」とは真逆といってもいいくらいのアップチューン。エレクトロっぽいというか、ここまでリズムが強調されてる曲って、今までなかったのでは?
【水野】 聴いたら踊りだしたくなる曲っていうのがテーマだったんです、まさに。今までの自分たちとは違うタイプの曲になったと思いますね。
【山下】 きっと新鮮に感じてもらえると思います。“いきものがかり、こんな曲もやるんだ?”って。
【吉岡】 デモを聴いたときはちょっと困りました。“このテンション、大丈夫かな?”って(笑)。いつもと同じように歌っちゃダメだって思ったから、レコーディングのときはハンドマイクで踊りながら歌ったんですよ。
【水野】 まあ、楽しく聴いてもらえたら嬉しいです。“考えるより、感じろ”っていう。
──「ぱぴぷぺぽバブぅ〜」ですからねえ。そこに意味を求めても・・・。
【吉岡】 でも、これは(水野の)素の部分が出ていますね。イスに座るときなんかに、ため息の代わりに“ぷぅ〜”って言ったりするので。きっと“かまってほしい”っていう合図だと思うんですけど(笑)。
【山下】 できるだけ取り合わないようにしています。
【水野】 ・・・えーと、その件に関してはノーコメントでお願いします(笑)。
(文:森朋之)
吉岡聖恵(Vo)、水野良樹(G&Vo)、山下穂尊(G&Har)によるスリーピースバンド。
1999年2月、高校の同級生だった水野と山下によって結成。
水野・山下が小学1年生の時、一緒に“生き物係”をしていたことからバンド名が決まる。
同年12月、同級生の妹である吉岡が加入。地元である海老名・厚木を中心にライブ活動を行う。
2006年3月15日、シングル「SAKURA」でメジャーデビュー。『DENPO115』CMソングに起用され大きな反響を呼ぶ。
2007年3月7日、アルバム『桜咲く街物語』をリリース。
2008年2月13日、アルバム『ライフアルバム』をリリース。
2008年12月24日、アルバム『My song Your song』をリリース。
2009年5月27日、シングル「ふたり」をリリース。
2009年7月15日、シングル「ホタルノヒカリ」をリリース。
2009年9月23日、シングル「YELL/じょいふる」をリリース。