- ――原作コミックは読んでいましたか?
- 【松山】 この話をいただいてから読みました。現実的な物語ではないし、設定がかなり特殊なので、ハリウッドのような映像技術がないと実写化するのは難しいだろうと思いましたね。でも、これを日本の技術でどう作品にするのかには、とても興味が沸きました。
- ――映画は、ほとんどのアクションシーンがCGになりますが、撮影現場での手ごたえはあったんですか?
- 【松山】 そうなんですよね、手ごたえはなかったですね(笑)。でも、演技をするときに、監督から緻密な説明があるんです。監督の頭のなかにはしっかりと完成図が出来上がっているので、そこに身をゆだねて演じていきました。監督との信頼関係がしっかりできていたからこそできた作品だと思います。実際に完成した作品を観たときは、すごく迫力のある映像に圧倒されました。
- ――演じる加藤は、優しいなかにもいろんな過去を抱えているという役柄でしたね。どんな役作りをしましたか?
- 【松山】 まず、ビジュアル的に体が大きな役だったので、体作りをしていきました。あとは、僕が原作でいちばん感動したのが、加藤と弟とのやりとり。ここでは彼の弱さも強さも出ているので、そこを大事に演じました。監督との打ち合わせでは、表現方法をストレートにしようと話し合っていたんです。そこは気をつけたところですね。
- ――弟を守るための彼の過去の行動には過ちもありますが、そこにも共感はありましたか?
- 【松山】 そうですね。何かを救うためには何かを犠牲にしなくちゃいけないというのは感じますよね。プライベートでも、何かを得ようとしたら、そこに競争や犠牲が含まれることもあるかもしれませんし。キレイごとを並べ立てていた加藤が、キレイごとでは済まない事態に直面して気が付くことがありますが、そこは実際に僕も考えさせられるものがありました。
- ――二宮和也さんと共演してみていかがでした?
- 【松山】 役柄の持っている“自然さ”をしっかりと演じることが出来る方なので、すごく助けられました。それに、現場を引っ張っていってくれたのも二宮さん。物語の世界観にしっかりと引き込む演技をしてくれるんです。玄野役が二宮さんで本当によかったと感じています。
- ――撮影中に誕生日を迎えた松山さんに、二宮さんがケーキを作ってきたと聞きました。
- 【松山】 そうなんですよ。本当にお忙しい方なのに、プライベートの時間を割いてケーキを作ってきてくれて。男性からケーキをもらったのは初めてなので、驚きましたし嬉しかったですね(笑)。
- ――では、撮影で大変だったことを挙げていただくとすると?
- 【松山】 夜のシーンが多いので昼夜逆転の生活がずっと続いていたこと。あと、寒いなかでのアクションもきつかったことを覚えています。
- ――映画は、もう『PART II』の撮影も終わっているんですよね。
- 【松山】 はい。『PART I』は原作に忠実に展開していて、その世界観を皆さんに理解していただいて、楽しんでいただける作品になっています。一方、『PART II』では映画オリジナルの展開になっていくので、原作を知っている人でも驚きがあると思います。原作ファンの方も、初めて観る方も満足できるものだと思いますよ。
- ――『PART II』も楽しみになってきました。さて、『GANTZ』は原作がコミックですが、松山さんのお気に入りのコミックはなんですか?
- 【松山】 コミックはほとんど読まないのですが、今読んでいるのは『レッド』。60年代後半から70年代前半までの学生運動の話で、そのなかで自己中心的な人たちが力を持つことになって、真っ直ぐな人たちも巻き込んでしまうという、発言の怖さなどを感じる作品です。そこで、僕が芝居で発している言葉にも影響力があることを改めて感じました。今もそうなんですが、これからも役が発する言葉にこだわって演じていきたいと思いましたね。
(文:吉田可奈/撮り下ろし写真:逢坂 聡)