縮小が止まらないデジカメ市場、事業存続の岐路に立たされる国内最大手メーカーの矜持と戦略
ここ3〜4年で急激に売上が下がり、業界に大きな危機感が生じた
「CIPA(カメラ映像機器工業会)のデータで見ると、2013年に233万台出荷のあったレンズ交換型デジカメは現在約87万台前後に、コンパクトデジカメは2007〜2008年に約1000万台に近い市場規模があったのが、いまは約140万台ほどまで落ち込んでいます。どちらも下落傾向ではありますがコンパクトデジカメの下がり具合が大きいです」(阿部氏)
「スマホの影響をダイレクトに影響を受けているのはやはりコンパクトデジカメです。一眼レフやミラーレスカメラは、ハイアマ(ハイアマチュア)向けモデルはそこまで大きな変化はないのですが、エントリー機と言われる初級者モデルは、やはり影響があります」(阿部氏)
それでもデジカメ業界全体で見れば、2013年ぐらいまでは、一眼レフ、ミラーレスなどの売れ行きが好調であり、一定の規模を維持していた。急激に市場が落ち込んできたのはここ3〜4年だと阿部氏は言う。
スマホへの敵対意識はない 親和性のある製品開発による共存がベスト
「確かに高画質を売りにしたスマホも登場していますが、さらなる高画質、高倍率、防水というスマホに勝る部分で差別化できる、コンパクトデジカメならではの製品を打ち出すことが重要だと思っています。また、対立構図として報道されがちですが、若年層を中心にSNSによる情報発信が進んでおり、写真を撮る機会が増えてきていることに対してはむしろビジネスチャンスと捉えており、我々としては、スマホに対して敵対意識を持っているわけではありません。比較される選択肢ではありますが、親和性のある製品開発により、アプリでの連動など共存できることがベストだと思っています」(阿部氏)
「若者を中心とした生活スタイルに、新しい性能を持った新コンセプトのデジタルカメラを提案することで、“カメラで写真を撮る”という行為をもっと身近なものにしたい」(阿部氏)