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迷走か?英断か?『いすゞのトラック』CMソングに異変

大友康平の歌声が流れる現在放送中の「つながる×みつめるトラック」篇 写真提供/いすゞ自動車

大友康平の歌声が流れる現在放送中の「つながる×みつめるトラック」篇 写真提供/いすゞ自動車

「いつまでもどこまでも 走れ走れいすゞのトラック〜♪
普段何げなく流れているこのCMソングがここ1年で急激に変化を見せている。2018年7月からマキシマム ザ ホルモンのドラム・ナヲがボーカルを担当。さらに同年11月からはBiSHのアイナ・ジ・エンドに替わり、今年7月からはHOUND DOGのボーカル・大友康平が自らも出演しながら歌い上げている。2004年以降、15年にわたって同曲を使い続け、この1年で3人のボーカリストを起用した背景にはどのようなCM戦略があったのだろうか? CMを担当するいすゞ自動車販売 営業企画部部長の三谷公克氏に話を聞いた。

限られた宣伝費だから生まれた 30秒のオリジナルソング

  • いすゞ自動車販売 営業企画部 部長 三谷公克氏

    いすゞ自動車販売 営業企画部 部長 三谷公克氏

 2003年、他社に先駆けて排ガス規制をクリアした小型トラックの販売を始めたいすゞ自動車は、そのトラックを売り出すためにテレビCMの制作を行った。
三谷氏乗用車も販売していた昔は(ジェミニという車に)『街の遊撃手』なんてキャッチコピーを付けていたくらい、遊び心もあった。でも、もうトラックのみになっていたので、なかなかテレビCMを打ちたいといえる雰囲気ではなかったんです。ただ、新型の小型トラックが出て、「ここでやらずしてどうする」とCM制作を決意して、なけなしの予算で広告代理店の東急エージェンシーさんにお願いしました。予算が限られていたので、制作に関してはお任せ。ただ1つだけ、「“音”だけは印象に残るものにしてほしい」とお願いしました。本当に予算がなかったので、「音楽は著作権フリーのものを使うのが精一杯」と思っていました。
 広告代理店から上がってきた曲は、サビのみ30秒のバージョンだったが、三谷氏も引き込まれるほど力強い女性の声が印象的なオリジナルソングだった。
三谷氏作詞のツカダマコトさんは、当時、東急エージェンシーのクリエイティブディレクター。プロの作詞家の方にお願いせずに、いすゞのことをわかってくれていた代理店のクリエイティブの方だったからこの歌詞が生まれたといえるかもしれませんね。本当は私が細かくこうして、ああしてと指示を出して作りましたって言えればかっこいいんだけど、オーダーを細かくやっていたら、生まれなかったと思います。東急エージェンシーさんには、我々の予算以上の労力をかけて作っていただきました。

 2004年、CMを放送するも、三谷氏が思ったほど周囲の反応はなかった。だが、この曲の持つ力を感じた三谷氏は、この曲を今後CM展開の軸に据えることを決意した。
三谷氏CMってキャラクターだったり、起用するタレントさんだったり、印象に残るフレーズだったり、音楽だったり「軸」になるものがあったほうがいい。実際、この先もCMにお金を使えないと思っていたので(笑)、この曲を軸に据えたんですね。都度都度考えて、毎回違う演出となると、お金もかかりますからね。歌は認知されてしまえば、印象に残りますから。
  • 大友康平の歌声が流れる現在放送中の「つながる×みつめるトラック」篇 写真提供/いすゞ自動車

    大友康平の歌声が流れる現在放送中の「つながる×みつめるトラック」篇 写真提供/いすゞ自動車

 マーケティングレーベル『Modern Age』のレーベルヘッドで尚美学園大学非常勤講師などを務める高野修平氏は、エンタメビジネス誌『コンフィデンス』4月8日号の連載コラム『加速する音楽マーケティング』で、JR東海の『そうだ 京都、行こう』で25年以上変わらず使われているCMソング「My Favorite Things」を例に出しながら、その重要性に触れ「(CMソングを変えないのは)音楽がブランド構築において重要な要素であると認識しているから」とし、「ブランド力をここまで昇華できた要因の一つは音楽のチカラなのである」と、CMにおける音楽の重要性を説いている。

 三谷氏もこの曲を使い続け、どう広めていくかということを第一に考え動いた。
三谷氏まず30秒のサビだけだった曲を、フルコーラスにしました。それをいろんなところで露出できるように、いろいろ回りました。カラオケの第一興商さんや、リクエストが入ってもいいようにUSENにも入れてもらいました。あとは当時流行っていた着メロを作ったり、本社だけでなく、販売店の電話の保留音もこの曲にしました。ホームページ上で無料でストリーミング再生できるようにしたり、販促用にCDを作って。音源が欲しいとお客様相談センターに連絡があった人に、CDを送ったりもしていました(現在はなし)。
 こうした草の根活動が功を奏し、発表から数年で日本中の人が認知するほどのCMソングに成長した。

提供元: コンフィデンス

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