テレ東“超高速連ドラ作り”、カギはドラマ&バラエティ班の「共同作業」
「note」に結集するクリエイターの熱量を活かしたい
「noteにはドラマの原作になりそうなエッセイ、漫画等を書いている方がたくさんいらっしゃいます。そこで最初に思いつくことは、その中から面白そうなものをドラマ化することだと思いますが、それでは新しくない。そんなとき、会員登録者数150万人以上を誇るnoteのクリエイターの方々と一緒に、キャッチボールをしながら脚本が作れたら面白いねと。テレ東らしさもある挑戦になりました」(『知らない人んち〜』演出・プロデューサー・太田勇氏)
シナリオから撮影、編集まで「共同作業」でドラマを制作
なお、2話目以降も毎週次話のアイデアを公募し脚本を制作。そのため、脚本作りから撮影、編集までを1週間で行うという、驚愕のスケジュールで制作が進行していく(図1)。ここまででもすでに斬新だが、加えて面白いのは、プロの脚本家が毎週1人ずつリレー形式で紡ぐ物語も展開される点(図2)。つまり、共通のお題動画から一般公募による「note投稿編」とプロの作家陣による「テレ東チーム編」がそれぞれ全4話(各約15分)制作され、視聴者は毎週2つの展開を楽しむことができるのだ。なお、「テレ東チーム編」の第1話は、ヨーロッパ企画の上田誠氏が脚本を手がける。
「なかなか無謀な挑戦のため、声を掛けた制作会社さんからは断られることが多かった。ですが、各所に相談するなかで“1人では無理だけど、複数人で作業すればできるかもしれない”という意見をいただき、ドラマ畑が本業の方とバラエティ畑が本業の方、両方をスタッフとして配置するという発想に至りました。例えば、『YOU〜』は2週間かけてロケしたものを3日後に放送することも珍しくありませんが、それができるのは、皆で協力して編集作業を行うから。撮影はドラマ班、仕上げはバラエティ班といった分業制でドラマ作りに挑みます。幸い『大変だけど面白そう』と賛同してくれる方が次々と現れ、劇伴作りなども複数人で行う予定です」(太田氏)
この企画を通して新しい才能と出会っていきたい
「第1話の脚本作りまでに寄せられた投稿は500件以上。投稿を採用させていただいたクリエイターさんに関しては、スタッフロールにも名前を掲載させていただきます。本当に質も熱量も高い方が多くて、テレビ東京としてはこの企画だけに留まらず、この先もいろんな企画でご一緒してみたいと思うクリエイターさんがたくさんいます。この企画を通して、新しい才能と出会っていきたいという気持ちです」(合田氏)
また、SNS等での“考察”によって盛り上がりを見せた日テレ系『あなたの番です』のように、「今後はただ視聴するだけでなく“体験型のコンテンツ”が熱量を帯びていくのでは」と合田氏。この挑戦的なドラマがシーンにどのような影響を与えるのか、放送後の反響に注目したい。