WANIMAサブスク解禁を経て国民的ロックバンドへ
ストリーミングでも好アクションのWANIMA
プレイリストにはさまざまなアーティストの楽曲が横断的に聴けて、知らなかったアーティストと出会えるメリットがある。その一方で、横断的に聴けるが故に特定のアーティストへの思い入れも生まれにくいというデメリットが議論にあがる事もある。コアなファンを1人でも多くつかみたいアーティストにとっては、ストリーミングは"諸刃の剣"になる可能性もあるが、逆に言えば、ストリーミングランキングでの複数曲ランクインは、現代におけるアーティストの支持の高さの証になりつつある。
「たまたまの出会い」に強いWANIMAにとって、ストリーミングは最強の武器
一方で、コアなリスナーからの支持も厚い。ストリーミングランキング上位に入っている「いいから」といったエロ満載の歌詞も持ち味の1つで、クスッと笑えるエロをテーマにした曲も彼らの頭抜けた魅力と言えるだろう。そして、何よりの強みは、ライブの圧倒的なパワーと熱量。メジャーからのリリース前にはすでに“FUJI ROCK FESTIVAL”、“SUMMER SONIC”、“ROCK IN JAPAN FESTIVAL”といった主要フェスを制覇しており、出演するたびにファンを増やしてきた。そして、WARNER MUSICと契約した17年末には、『NHK紅白歌合戦』に出場。一見、ストリート感の強い佇まいながら、そのてらいのない笑顔とストレートな演奏が幅広い世代の"国民"に好感を与え、たちまち全国区にその名を轟かせた。
そうしたここまでの彼らの成長過程を振り返るとWANIMAは直筆メッセージでも書いているように、「たまたまテレビやラジオ、フェスなどで聴いて好きになってくれた」人が多かったアーティストとも言える。そうした「たまたまの出会い」に強いアーティストであればこそ、冒頭であげた"ストリーミングの諸刃の剣"も、彼らなら最強の武器にできるに違いない。
前出のストリーミングランキング上位にも付けている「アゲイン」(19年1月TBSドラマ『メゾン・ド・ポリス』主題歌)は、これまで以上にスケール感を増した王道ロックで、さらなる幅広い層に響いている。そして7月17日には三ツ矢サイダー2019 CMソングの「夏のどこかへ」ほか、劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』(8月9日全国公開)の主題歌「GONG」などが収録された最新シングル「Summer Trap!!」がリリースされたばかりだ。
もちろん彼らは、今後も「CDも気合を入れて創っていきます!」と表明している。ファンとバンドをつなぐCDは彼らにとっての「宝物」であり、これからもアートワークにもこだわり続ける。あるファンがSNSで「WANIMAはストリーミング解禁してもCDのセールスは落ちないと思うし、もっとたくさんの人に届くのはいいこと」とつぶやいていたように、コアなファンはこれからも彼らのCDを購入し続けるだろう。その一方で、よりカジュアルに楽曲を楽しむことができるこのたびのストリーミングサービスへの全楽曲解禁は、WANIMAが国民的ロックバンドへとさらに駆け上がる意味深い起点となりそうだ。