2.5次元作品で話題の俳優・田村心が告白する、歌手デビューへの葛藤と期待「音楽は本当に特別な存在」

 近年話題の2.5次元作品、ミュージカル『刀剣乱舞』などに出演する俳優・田村心が、7月31日にシングル「君がいて欲しい」で歌手デビューを果たす。昨年大みそかの『第69回NHK紅白歌合戦』には、世界で人気のジャパンカルチャーを特集する「企画コーナー」にミュージカル『刀剣乱舞』の刀剣男士(「刀剣乱舞-ONLINE-」登場キャラクターらの呼称)として出場。2.5次元ミュージカルを中心に活躍する背景からも、この歌手デビューは俳優・田村心にとって新たな可能性を見出す挑戦となる。期待が膨らむ一方で、田村自身が「音楽」から人生が180度変わるほどの影響を受け、リスペクトしているからこそ、自分が音楽活動を行うことには葛藤も大きなものがあった。

UVERworldのライブがきっかけで「俳優の道」へ進むことを決意

 幼い頃、仮面ライダーやスーパー戦隊などのヒーロードラマが好きで、その憧れが転じて、いつの頃からか俳優になる夢を抱くようになったという田村。それは長らく漠然としたものだったが、2014年8月にUVERworldのライブを観に行ったことがきっかけで、彼は「俳優の道」に進むことを決意した。

「父が音楽をやっていたこともあって、小さい頃から音楽を聴く環境は整っていたように思います。中学生になるとUVERworldさんが好きになってファンクラブにも入っていたんですけど、ある時、バンドの熱いライブ、パフォーマンスを観たときに、なんだか背中を押された気がして『自分がやりたいことをやろう』と、そのときに俳優をめざす決心をしたんです。僕にとって音楽は神格化じゃないですけど、その時々にチカラを与えてくれる本当に特別な存在。だから今回、音楽活動をやらせていただくチャンスをいただいたことを、最初はすんなりと自分の中で納得できなかったですし、正直不安でした。でも、やるからには僕にできることを精一杯やりたいし、また音楽活動からチカラをもらって新しい挑戦につなげていきたいなと思っています」

 自分自身が戸惑いを感じていたように、俳優として飛躍の真っ只中にいる田村の歌手デビューには、発表当初ファンからはさまざまな反応があったというが、「あらかじめ予想はしていましたが、みなさんに認めてもらえるような、自分らしいものにしたいなと思って作品づくりに挑んでいきました」

歌手デビューを通して、自分をさらけ出すことができた

 表題曲の「君がいて欲しい」は、リズミカルでありながらアコースティックギターが利いた軽やかなナンバー。対するカップリングの「Next Step」は、ピアノを基調とした壮大なバラードに仕上がっている。歌詞は2曲とも今の田村の心境に寄り添った内容になっていて、心地よいメロディーとともに田村の歌声、言葉がすんなりと耳に入ってくる。ミュージカル作品に複数出演しながらも、普段友だちと一緒にカラオケに行っても自分だけ頑なに歌わないという田村だが、楽曲からはそんなことを微塵も感じることがない。

「曲を作り上げていくうえでは、何度も話し合いをさせていただきました。まず、最初に5曲ほどいいただいて、その中から僕が“自分らしい”と感じたメロディーの2曲を選ばせていただきました。ロックっぽい曲調のものもあったんですけど、僕のイメージには合わないと思って。歌詞については、皆さん本当に丁寧に僕の意見を聞いてくれて、今の僕の思いに寄せたものにしていってくださいました。『君がいて欲しい』に関しては、初めはタイトルも歌詞も全く違うものだったんです。でもそこから何度か修正していただいたおかげで、“自分の言葉”として歌うことができています。どちらも自分が好きだな、と思える曲になったので、すごくありがたいです」

 考えに考え抜いて作られた楽曲からは、田村のセルフプロデュース力の高さを感じさせる。しかし、田村いわく、これまではあまり自分の主張をしないタイプだったようだ。

「歌手デビューすることになって、制作過程で本音でぶつかることができたように思います。今回のことで自分のことをさらけ出すことができたので、色々と意見を言わせていただいてそういう意味でも好転しているというか。俳優としても大事なステップを踏ませていただいているようにも思いますね」

ドラマや映画作品にも意欲的「悪役などいろいろ挑戦していきたい」

 歌手活動を通して田村心の中に生まれた、ある種の「自我」のようなものは、今後の俳優活動にも確実に好影響を与えていくことだろう。2015年にサンリオピューロランド内で上演されるミュージカル『ちっちゃな英雄(ヒーロー)』で初舞台を踏んでから約4年。昨年はミュージカル『最遊記歌劇伝 -異聞-』で初主演し、この4月には『週刊少年ジャンプ』(集英社)の人気漫画を舞台化した「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stageでも主演を務め、国内のほか中国・上海でも公演を行うなど、ものすごいスピードで飛躍している田村。いまは2.5次元舞台作品での活躍が目立つ田村だが、かねてから憧れていたドラマや映画など、映像作品への挑戦にも意欲的だ。

「数年でここまで来られたことは、自分でも驚きではあります。飛躍のきっかけになった2.5次元作品のことは、俳優をはじめた当時はあまり認識をしていなかったジャンルですが、誇りを持って舞台に立たせていただいています。今後は舞台に加えて、映像作品にも挑戦したい気持ちがありますが、そのためにはとにかくお芝居の技術を上げていきたい。今、主演などもやらせていただくようになったからこそ、順応性を高めていかないと戦えないなとより強く思うようになりました。今はどちらかと言うとヒーロー系の役を多くやらせていただいていますが、悪役やコメディーちっくな役など、いろいろ挑戦していきたいです」

撮影/逢坂聡

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提供元: コンフィデンス

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