【受賞インタビュー】黒木華、イヤな女役でも好感度上昇 「自分の殻を破るのが目標」
序盤では「むかつく!」「腹が立つ!」などと視聴者をイラつかせながらも、あけすけに嫉妬心をぶつけ、悩みや戸惑いをストレートに叫ぶ姿は、徐々に共感を集めていき、いつしか好きなキャラクターとして視聴者の記憶に残る存在となった。清楚な日本女性を演じる“映画女優”という印象も強い黒木だが、『アンナチュラル』などヒット作を次々と送り出す脚本家・野木亜紀子氏とのタッグはTBS系『重版出来!』に続いて2作目と、近年では連ドラへの出演も増えている。改めて役作りや出演者たちとの撮影の様子などを振り返ってもらった。
観ている方にただ嫌われてしまわないようにと意識した
黒木華こうして賞をいただけたことはすごく嬉しいです。野木さんの脚本も好きでしたし、自分自身演じていてとても面白かったです。
――黒木さんのこれまでのイメージとはかなりかけ離れたキャラクターでした。
黒木華撮影中に知ったのですが、実は知人にも元カレと同居している人がいました。朱里はかなりキャラクターが立っていましたが、実際にいそうだと思ってもらえるように、よりリアルな反応を目指しながらやっていました。あとは、観ている方に嫌われてしまわないように、朱里にも背景があるということは意識してやっていましたね。京谷とのやりとりのなかで、ドラマでは描かれていない4年間をどうやったら見せられるかなど、距離感は意識していました。
「それでも愛されたいな」というセリフはすごくキュンとした
黒木華なんか気になっちゃうんですよね、朱里って。仕事がうまくいかなかったり、朱里のダメな部分というのは、実は誰でも持っているもので、だからこそ共感していただけたのかなと思います。そこはやっぱり野木さんの脚本の力なんだと思います。視聴者の皆さんが「イライラする」と言いながらも、「なんか見ちゃうんだよね」と言ってくださったのには“しめしめ”と思ってました(笑)。すごく嬉しかったです。
――物語の後半、社会復帰し始めてからは、それまでの印象も一転し、視聴者も応援したいという気持ちも強まっていきました。
黒木華特に前半部分との演じ分けみたいなことはありませんでしたし、みんながそれぞれの距離感で動き出していくなかで、自然に変化していったように思います。ただ、朱里にもちゃんと働いていた過去がある、ということはどこかに見えるようにしたいと意識していました。
――印象に残っているシーンは?
黒木華7話の朱里と晶のシーンですね。お互いに影響を与え合える人に出会えたんだなと嬉しく思いましたし、9話の「それでも愛されたいな」という朱里のセリフもすごくキュンとしました。あとはドラマ全体を通して男性陣のやりとりがとても面白かったです。タクラマカン斎藤も好きでしたし、それぞれのキャラクターが全部気になるというか、ドラマ内では描かれてはいないけど、それぞれの背景が見えてきてしまうのが好きでした。いち視聴者として毎回、楽しく観ていました。