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“完全再現”の異質アニメ、『ジョジョ』シリーズプロデューサーが語る制作舞台裏と原作リスペクト

 2012年から足掛け6年に渡ってアニメ化が続いている『ジョジョの奇妙な冒険』。現在は原作第5部『黄金の風』のアニメが放送中で、中盤に向けて盛り上がりを見せている。同シリーズは2012年に第1部・第2部を放送し、2014年に第3部、2016年に第4部、そして2018年10月から第5部『黄金の風』が放送中。2018年は、ファンにとってはまさかの第五部までアニメ化する事態にファンが盛り上がった。いずれのシリーズも原作コミックのコマ割り、アングル、台詞など“完全再現”を行っており、熱烈なファンを抱える作品ながらアニメ化作品で高評価を得ている。なぜここまで徹底的に原作を再現していくのか。その舞台裏や作品に込めた想いをアニメ化のプロデューサーである、ワーナー ブラザース ジャパン大森啓幸氏に話を聞くと、アニメ作品が乱立する業界に一石を投じるスタンスが垣間見えた。

「Yが足りない!」「花京院の“レロレロ”は17回!」 台本上でも細部までこだわる

――改めまして、大森さんは“ジョジョ”のアニメシリーズにどのように関わっているのか教えてください。
大森氏企画全体のプロデューサーです。どの時期に、どれくらいのボリュームで、どこで放送しましょう、そういった大枠を考える“旗振り係”ですね。番組の企画立案・制作宣伝全般に関わっています。シナリオも読みますし、あとはオープニングのディレクションや音楽の担当も直接やっています。

――辛口の原作ファンも納得の、“完全再現”が評価されて、原作の1部から現在は5部までアニメ化となっています。シリーズはどのようなプロデュースの方針なのでしょうか。
大森氏なんといっても30年以上続く原作。コミックスは累計1億部超えていて、30周年の原画展では新国立美術館、過去にはルーブル美術館にも展示される、そんな漫画は他にないです。それだけに熱狂的な“ファン”も多く、原作をリスペクトする気持ちがファンの中にも大きい。そんな原作の再現(アニメ化)は制作現場のデイヴィッドプロダクションの津田監督の考えが大きく影響しています。彼は「ジョジョを科学する」という言い方をしており、ジョジョアニメは“体感上の完全再現”を行っています。

――完全再現で、たとえばどんな部分にこだわっているのでしょうか?
大森氏シナリオでディオがUREYYYYって書いてるところで、シナリオライターに、「Yが一つ足りません、原作ではこのように記されています」っていうんです(笑)。ほかにも、第3部で花京院が(イエローテンパランスが)“レロレロレロレロ…”という有名なシーンがありましたが。あれは“17回”なんですよ。台本もきちんと17回で書いていて。花京院役の平川大輔さんにちゃんと「17回でやりますよ」と言っていました。そうすると彼もちゃんと17回で、レロレロを自然にできるまで練習するわけです。そんな風に「神は細部に宿る」と信じて魂を込めています。

“体感上”の完全再現、実はアニメオリジナルシーンも多い

――アニメ化となると、アニメのオリジナルシーンはいかがでしょうか。静止画(漫画)の世界を補足するためにどうしても必要なものかと思いますが、ジョジョに関してはあまりオリジナルシーンの印象がありません。
大森氏実は、オリジナルシーンはけっこうあるんです。まったく新しい描写を加えるのではなく、「入れることでよりジョジョの世界を理解していただく」という観点でオリジナルシーンを作っています。例えば、アニメ版『黄金の風』第1話はイタリアの街並みから入っていますが、原作では康一君がイタリアの空港に来てナレーションからはじまっているんです。コミックスだと第4部からの続きだから成立するんですが。アニメの第4部『ダイヤモンドは砕けない』放送は1年以上前に終わっているので、つながらない。ゆえに、主人公のジョルノ・ジョバァーナというキャラクターの人となりを伝えるために、イタリアの街並みから入ることが大事だったんです。単純なワルじゃないし、女や子どもには優しい。だから、アイスクリームを子どもに渡している。それがアニメ版の1話です。

――その考えは過去シリーズ(一部〜四部)でも展開していたのでしょうか。
大森氏そうですね。第2部の『戦闘潮流』では、シーザーの必殺技「シャボンカッターグライディン」を何度か繰り出していますが、実は原作ではアニメほどやっていないんです。

――なるほど。原作そのままのイメージでありながら、実はオリジナルシーンも盛り込んでいる。だから“体感上の”完全再現とおっしゃったんですね。そんな細かい部分まで監督・作画・脚本・作画スタッフさんたちで正しく理解しているのが驚愕です。
大森氏やっぱりスタッフ陣に作品への愛があるし、ものすごく研究して、科学しているからでしょうね。アニメならではの展開ではなくて“原作の魅力をいかに伝えるか”という議論を重ねています。

提供元: コンフィデンス

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