ライブの魅力はMC、星野源、コブクロのトーク力を紐解く
ベテラン勢に混じり、星野源、コブクロが上位に
そんな熟練したメンバーが集うなかで、本稿ではTOP5に入った2組、星野源とコブクロに注目してみたい。
トーク技術以上に、星野源の人柄や価値観に対して好意
実際、うわべのトーク技術というよりは星野源の人柄、価値観などに対して好意を持つリスナーは多く、今回の調査でも、「話し方や歌う前のコメントに親近感がわく」(30代女性・兵庫)、「爽やかでかっこつけない感じに親しみがある」(30代女性・東京)、「自然体で話すので、聴いていても違和感を覚えない」(20代女性・大阪)、「物腰の柔らかい雰囲気から繰り出す軽妙なトーク。頭の回転の良さ」(40代男性・神奈川)などのコメントも目立つ。ここから得られるキーワードは「親しみやすさ」「センスの良さ」「幅の広さ」「自然体」「人間性」といったもの。肩ひじを張らずに楽しめる、という点は星野の生み出す楽曲とも共通点は多い。
感動を呼ぶ曲やルックスと、トークの「ギャップ」もポイント
そんな現場で、小渕健太郎の描き出す作品の奥深さと、黒田俊介が繰り出すパワフルで繊細な歌唱力は、お互いを補い合う形で類を見ないデュオとして、力をつけていった。そしてそこにプラスされたのが、今もなお彼らのライブの大きな魅力となっているMCだ。予定調和を嫌い、生の魅力にこだわる彼らだからこそ醸し出せる言葉のやり取りは、路上時代から積み上げてきたあうんの呼吸の上に成り立っている。
「長年パートナーとして活動してきた2人ならではの息の合った掛け合いが素晴らしい」(50代男性・兵庫)、「ひょうひょうとした雰囲気や関西弁に親しみがわく」(30代男性・奈良)、「一見強面でとっつきにくそうだが、力のある優しい歌声と話し方でギャップがあって良い」(20代女性・埼玉)といった、彼らのMCについてのコメントからは、常に客席を和ませられる「卓越したトークスキル」と、感動を呼ぶ曲やルックスとの「ギャップ」、歌詞の解説をも自然に伝えられる「話題の豊富さ」などを感じ取ることができる。
星野源の楽曲にある「癒やし」「元気が出る」「気づき」に評価
星野源の作品に対しては、「落ち込んでいる時、これも次への経験になると勇気づけられる」(50代男性・千葉/Family Song)、「星野さんの温かみのある声も相まってとても癒やされる」(40代女性・宮城/くだらないの中に)、「一番気持ちが落ちているときに聴くと明日からまた生きていける気がする」(10代女性・福岡/化物)といったコメントが。そこから浮かび上がってくるキーワードは「癒やし」「元気が出る」「気づき」といったものだ。
相対的に聴き手の“身近”なところで寄り添うようなイメージが強い。星野の人柄にある「親しみやすさ」がそうした歌詞のスタンスをより強めているようにも感じられる。 “人とともにある”、そんな日常性が星野源の持つ魅力に他ならない。
コブクロの楽曲では、「情景」「励まし」「共感」がポイントに
「情景」「励まし」「共感」といったところが共通するポイントだろうか。彼らの言葉によって今自分がいる場所を再確認し、指針を示してもらう人が少なくないのかもしれない。漫才のようなトークで和ませ、その後にぐっと背中を押す。コブクロの曲に勇気をもらう人が続出するのも頷ける。
もちろん、それらが伝わるのも彼らの作品が持つ表現力の豊かさがあればこそ、だ。コブクロは、11月に30枚目のシングル「風をみつめて」、12月に初のコンプリートベストアルバム『ALL TIME BEST 1998-2018』を相次いでリリースする。星野源は、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』の主題歌「アイデア」を8月に配信限定でリリースしたが、アルバムは前作『YELLOW DANCER』(15年12月)以来リリースがなく、新作発売が待ち望まれている。ライブをはじめ充実した活動を受けての新作が楽しみだ。
<調査概要>
調査対象:全国男女/サンプル数:2959
調査期間(1):2018.9.18(火)〜9.20(木)
調査期間(2):2018.9.26(水)〜10.1(月)
調査手法:インターネット調査/調査機関:オリコン・モニターリサーチ