『うたコン』好調の要因は“視点の角度”にあり Pが語る番組作りのこだわり
◆今年で放送3年目、斬新な企画で高視聴率を獲得
音楽をカテゴライズせず、想定外な切り口やコラボ、意外な歌手による意外なカバーで聴かせる『うたコン』では、楽曲そのものや歌手の新たな表情を発見することができる。
「4月に放送した『リズムにのって!心躍る昭和歌謡』は最近、外国人観光客などに人気だという、昭和の名曲に乗って踊る“ディスコ歌謡”なる切り口での特集でした。『東京ドドンパ娘』(渡辺マリ)や『恋のメキシカンロック』(橋幸夫)、『狙いうち』(山本リンダ)といった楽曲をダンスナンバーとして捉える、若いディレクターの発案で生まれた特集です。
また、6月に放送した『全部歌える!鉄板“恋うた”フルコース』では、氷川きよしさんと中西保志さんが、中西さんの「最後の雨」をデュエットしました。これはもともと氷川さんがお好きな曲で、中西さん側に打診したところ、実現。お2人で熱唱されて、圧巻のパフォーマンスでした。リハーサル時から、ほかの歌手の方々が拍手喝采したほどです」
リアルタイム世代では思いつかない斬新な企画を生むための工夫
変わってきたのは伝え方だけではなく、視聴者も大きく変わってきていると原田氏は見ている。
「DA PUMP の『U.S.A.』が良い例です。大人には高揚感があって楽しめる、子どもはマネして踊っている。昔ながらのジャンル分けや世代分けの発想は変容してきて、皆さんもっとフラットなスタンスで音楽を楽しんでいるように思います」
10〜20代がSpotifyで演歌・歌謡プレイリストを楽しみ、60代がロックに熱中する今。実は昔のような多くの大衆を巻き込んで熱狂させるヒット曲が生まれる素地があるのかもしれない。そんな期待感を抱きつつ、『うたコン』は放送開始から間もなく100回目を迎える。
文/和田靜香
(『コンフィデンス』9/24号掲載)
あなたの歌のコンシェルジュ『うたコン』
司会:谷原章介、小郷知子 NHK アナウンサー
演歌・歌謡曲からポップス、洋楽、クラシックまで、多彩なジャンルの音楽を、生放送・生歌唱で、幅広い世代の視聴者に向け発信