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鈴木大地スポーツ庁長官インタビュー「スポーツと音楽は一体として考えるべき」

 スポーツ庁長官に就任し、10月で丸3年を迎える鈴木大地氏。本年に入りスポーツ関連団体による数々の問題がニュースを賑わす中、政府の“スポーツの成長産業化”を推進するキーパーソンの目には、民間活力を導入した、日本のスポーツ業界が向かう道がどう映っているのか。そこには音楽が深く関係した、新たなスポーツエンタテインメントの世界があった。

スポーツのビジネス活用で、42兆円の国民医療費を抑える

――発足から3年目を迎えているスポーツ庁ですが、現在の状況を教えてください。
鈴木大地文部科学省時代のスポーツ行政は、ビジネスに関する政策はありませんでしたが、スポーツ庁ができたことで、国がスポーツに関わるビジネスを取り扱うようになりました。現在は民間企業や経済産業省からも職員を迎え、各分野の専門家から意見をいただきながら、事業を進めているところです。

――国も「スポーツの成長産業化」を掲げていますね。
鈴木大地これまで国は、スポーツを教育の側面だけで捉えておりましたが、現在は産業としてスポーツを支援しており、スポーツ庁も3つの視点を大切にするという方針を示しました。1つは、レジャーや遊びも含めたスポーツを「する」こと、2 つ目がトップレベルの大会を含め、スポーツを「観る」こと、さらにアスリートからイベントまで、スポーツを「支える」ことです。

――3月からスタートした「FUN+WALK PROJECT」という、「歩く」に着目した官民連携プロジェクトもその一環ですね。
鈴木大地今、日本は42兆円もの国民医療費がかかっており、これから高齢化社会が進むにつれ、ますます増えると考えられています。この多額な医療費を抑えるべく、運動・エクササイズ・スポーツをすることで健康になろうという狙いです。
 しかし、このようなプロジェクトはスポーツ業界だけでやっても、国民には広がりません。広げるためには、ファッション業界や観光業界、エンタテインメント業界など、発信力のある他業界の方たちに入ってもらうことが不可欠です。
 一緒にやろうと、手をあげる自治体も増えてきました。地方では車社会の進行から、都心にいる人たちよりも歩かず、運動不足になりやすいという問題もあり、参加していただいているようです。このように、地方自治体や民間企業などの参加が増えていくなかで、スポーツ庁としては、国としての方向性を示し、制度を作るなど、プロジェクトを盛り上げやすい空気を作っています。

アリーナにはそのような多様な利用方法がある

――政府では、2025年までに日本全国にスタジアム・アリーナを20ヶ所作ることも目標に掲げています。
鈴木大地正直に申し上げると、建設が決まったところもあれば、これから構想を固めるというところもあり、進み具合はそれぞれです。しかし、全国各地でスタジアムやアリーナを建設しようと立ち上がることは、非常に望ましい傾向と感じます。
「運営できるのか」など、懸念の声もよく聞きますが、それを払しょくするためには、それぞれの地域の目的に沿った建設後の計画をしっかり立てる必要がありますね。ここで申し上げたいのは、特にアリーナに関しては、私は今後の活用に大いに期待しています。屋根があるため、非常に使い勝手がよく、試合だけでなくスポーツイベントや音楽ライブなど、使われ方も多岐にわたります。また防災の面でも、アリーナは避難所など、非常に重要な役割を果たします。実際に、熊本県の蒲島郁夫知事と話をさせていただいた際も、知事から「熊本地震のときも、スポーツ施設が防災拠点になりました。是非こういう施設をどんどん作ってください」というお話を伺いました。
 アリーナにはそのような多様な利用方法がありますが、スタジアムはどうしても、アリーナよりも活用方法が狭くなってしまいます。天候による使用リスクや用途の制限があったり、サッカースタジアムに関しては天然芝のため、イベントをするときは養生して保護する必要がありますし、普段から日光に当てたり、水をあげなければなりません。非常に手間と維持費がかかります。この利用方法と維持管理費の面が、スタジアムの課題となっています。

――スタジアム・アリーナを維持管理していくために、まず考えられるのが施設の稼働率を上げていくことですね。
鈴木大地スポーツ業界として、スタジアム・アリーナ建設は一番の大きな投資です。ここで利益が出るようなスキームを生み出さないと、スポーツ業界全体のビジネスが盛り上がっていきません。どうやってスタジアム・アリーナを黒字化するのか。我々としてはスポーツで使うことを考えなければいけないのですが、365日をすべてスポーツで埋めるのは、正直難しいです。いかに他分野の人たちが会場を使えるようにするのか。それを考えるのがポイント。音楽は最有力ですよね。

提供元: コンフィデンス

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