椎名林檎、サブスクランキングを席巻 旧譜&トリビュート盤から見るヒットの特徴とは

 デビュー20周年を記念したシンガー・ソングライターの椎名林檎のトリビュートアルバム『アダムとイヴの林檎』が、週間0.9万 DLを売り上げ2週連続首位を獲得した。また、週間デジタルシングル(単曲)ランキングでは、同アルバム収録曲がTOP100以内に3曲がランクイン。同アルバム発売を記念して旧譜がサブスクリプションサービスで一斉開放され、各サービスのランキングを席巻。今回、旧譜とトリビュート盤が同時配信されたことで、各サービスごとの特徴が浮き彫りとなった。

旧譜とトリビュート盤の同時配信で、各サービスどちらか一方に偏る傾向に

  • 椎名林檎のトリビュートアルバム『アダムとイヴの林檎』

    椎名林檎のトリビュートアルバム『アダムとイヴの林檎』

 椎名林檎トリビュートアルバム『アダムとイヴの林檎』が、6/11付週間デジタルアルバムランキングで週間0.9万DLを売り上げ2週連続首位を獲得した。また、同日付の週間デジタルシングル(単曲)ランキングでは、本アルバム収録の宇多田ヒカル&小袋成彬の「丸ノ内サディスティック」が9位、本作のために結成されたスペシャルバンド・theウラシマ'Sの「正しい街」が56位、レキシの「幸福論」が80位とTOP100に3作がランクインした。

 今回、トリビュートアルバム発売と同時に、メジャーデビュー記念日である5月27日にシングルとアルバムの全29タイトルに加え、デジタル配信限定作品を含む全188曲を、サブスクリプションサービスで一斉開放した。TOP25にランクインした楽曲はそれぞれ異なり、彼女の作品を通して各サービスの特徴が見えてくる。旧譜とトリビュートアルバムが、同時配信されたことで、どちらか一方に偏る傾向が窺えた。

 「LINE MUSIC」では、宇多田ヒカル& 小袋成彬の「丸ノ内サディスティック」が5位、「長く短い祭」が12位と2曲がランクイン。若年層のライトユーザーが多いためか、旧譜に対する反応があまり見られなかった。

邦楽ファンが多い「AWA」と「dヒッツ」では、旧譜がランキングを席巻

 一方の邦楽ファンが多い「AWA」では、「長く短い祭」の1位に続き、「本能」が2位、「ここでキスして。」が3位、「丸ノ内サディスティック」が4位、「ギブス」が5位と1st、2ndアルバム収録曲の懐かしの楽曲を中心にTOP5を独占。TOP25以内に10曲がランクインし、そのすべてが旧譜。AWAでは、他のユーザーが独自に作成したテーマ性のあるプレイリストを楽しむ文化が定着している。他アーティストとの楽曲に上手く椎名の曲を織り交ぜた、独自のプレイリストを楽しみたいユーザーが、多く反応したことが予想される。次週以降もランキングの上位にランクインしてくることが窺える。

 同じく邦楽ファンが多い「dヒッツ」では、3位の「本能」に続き、4位に「ここでキスして。」、5位に「歌舞伎町の女王」とTOP25以内に8曲がランクインし、「AWA」同様にすべてが旧譜という結果となった。

 対してSpotifyのバイラルチャートでは、the ウラシマ’S の「正しい街」が1位、私立恵比寿中学の「自由へ道連れ」が6位、レキシの「幸福論」が8位とすべてトリビュート盤。流行を先取りするユーザー傾向の強いSpotifyでは、旧譜ではなく、新曲感覚で楽しめるトリビュート盤に多くの人が反応したようだ。

 今回の椎名のサブスクでの全曲開放は、各サービスの特色が浮き彫りとなり、1つの事例として特筆すべき結果を残した。

[18年6月11日号 コンフィデンスより]

提供元: コンフィデンス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索