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演歌・歌謡番組『ごごウタ』、“現代のヒット曲”創出への挑戦

“新曲だけ”を届ける演歌・歌謡番組『ごごウタ』(NHK総合/金曜 不定期 15:08〜)

 昨年4月にスタートした『ごごウタ』(NHK総合/不定期金曜15:08〜)は、情報番組『ごごナマ』の枠内にて地上波では珍しい“新曲だけを聴かせる”演歌・歌謡番組として好評だ。スタートから1年、演出等を手がける鎌野瑞穂氏に新曲を届けることの意義、こだわりを聞いた。

新たなヒット曲が生まれないと、どんどん先細りしていく

 金曜午後3時過ぎから生放送で届ける歌番組『ごごウタ』が、スタート1年を迎えた。「あなたの甘いお茶菓子、小堺一機です」と、司会の小堺が番組冒頭であいさつするように、ひと仕事終えた休憩タイムに合わせた歌番組という時間設定が面白い。

「私も制作に関わっていた『NHK歌謡コンサート』は、20年以上にわたり演歌・歌謡曲を紹介してきましたが、必然的に視聴者の年齢層も高くなっていました。そこで、もう少し若い世代にも馴染みのある、ジャンルを拡げた“いい歌”を届けようと、16年から『うたコン』に改編しました。ただ、そうすると演歌・歌謡曲を取り上げる時間が減ってしまう。そんな折にちょうど『ごごナマ』という情報番組が始まることになり、そのなかで演歌・歌謡番組を放送できることになりました」(鎌野瑞穂氏/以下同)

歌とトークで丁寧に魅力を伝える

 憩いの時を和ませる『ごごウタ』の画期的なところは、往年のヒット曲やカバーを歌うのではなく、出演者全員が自らの新曲を歌うところ。出演者は毎回9組、その全員が新曲を歌う地上波の番組は貴重だろう。

「私たち自身が新曲を大切にしたい気持ちが強く、当然ながら視聴者からも『◯◯さんの新曲をお願いします』というリクエストを多くいただきます。と同時に、現代のヒット曲を作らなくては!という使命感のようなものがあります。将来のために“平成の懐メロ”を作りたいんです。新しいヒット曲が生まれないと、どんどん先細りしていくという危機感を抱いています。それと同時に、歌手の皆さんに親近感を持っていただくため、丁寧に伝えていこうと考えています」

 放送人のみならず、演歌・歌謡曲に関わるすべての関係者が願う「ヒット曲を作る」という大きなテーマこそが、この番組のコンセプト。そのために、どうやって見せていくか?どうしたらヒットは生まれるか?を番組内では試行錯誤している。

「演歌歌手の魅力を伝えるには、ただ歌ってもらうだけでなく、その人の素顔も伝えようとトークも大切にしています。そこで小堺一機さんです。小堺さんは人を見る目が温かい。相手が新人さんだろうが大御所さんだろうが、その人の面白さ、隠れた魅力を引き出してくださるので、こちらは出演者の経歴や趣味、最近ハマっていることなどのデータを履歴書のようにして書いてお渡しするだけなんです。楽しいトークで出演者同士の話も弾みます」

出演者の“アイデア”も積極的に採用

 番組は午後3時という放送時間帯ゆえに、国会、大相撲、高校野球などの中継時には放送がない。昨年は年間で18本の放送、「毎週できないことが最大の悩みです。立て続けに放送があると、定着して視聴率も上がるんですが」という。

 北島三郎も出演した3月の放送では急きょ国会中継が入り、収録した番組を夜中に放送したこともある。それでも鎌野氏は前向きに番組を盛り立て、現代の演歌・歌謡のヒット曲を、スターを育てようと、新たな試みに次々と挑戦している。

「若手を育てる意味で、デビュー直後の新人さんにも多く登場してもらっています。演歌というジャンルから少しハミ出しながら、男性ボーカル5人組のUNIONE や、ボーカル&ダンスグループのX4にも出演してもらい、視聴者のときめきタイムも盛り上げています。年配の方には、若い子が頑張っている姿を見ると応援したくなるモチベーションがありますからね。新人さんでは、中澤卓也さんが出演してくれた折に『中澤卓也です、◯◯を歌います!』と自ら曲紹介をしてくれたんですが、それがとても良くて。以降、その形が定着しています。

 少人数で作っている番組なので、良いものはすぐに取り入れることができます。歌手の方からハマっていることや面白いエピソードを提供いただいたり、時にはアドリブで盛り上がって想定外の展開になったり、歌手の皆さんと一緒に作り上げている感覚です」

文/和田靜香
鎌野瑞穂(かまの みずほ)
1997年に日本放送協会に入社。福島放送局で7年間、編成・制作を務めた後、2004年から東京へ。ディレクターとして、『NHK のど自慢』、『NHK 歌謡コンサート』、『ポップジャム』、『SONGS』など、歌番組を中心に担当。毎年『NHK紅白歌合戦』にも携わっている。
(『コンフィデンス』 18年4月30日号掲載)

提供元: コンフィデンス

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