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『おっさんずラブ』Pが語る企画意図 描くのは“ふつうの恋愛”ドラマ

 第1話の放送から話題騒然。モテないアラサー男がある日、おっさん上司に告白される衝撃ラブコメ『おっさんずラブ』。昨今のドラマシーンでは、さまざまな性自認や性的指向を持った登場人物が増えているが、16年の単発から連続ドラマとして帰ってきた今作のプロデューサー、貴島彩理氏に企画意図を聞いた。

家族との関係性やカミングアウト、避けては通れないテーマも描く

「企画の最初のきっかけは些細なことで、私が大学時代の親友の家に、深夜に泊まりに行ったとき、ささっと夜食を作ってくれて、朝も朝食が用意されていて、すごく癒やされたんです。そのとき、彼女と結婚しちゃいけない理由ってなんだろうとふと思いました。仕事に生きるアラサーの男女ってみんな“自分にとって都合のいい彼氏彼女”を求めがち。でも、もしちょっと好意を寄せている異性がいるのに、目の前に家事がカンペキで気の合う素敵な同性が現れたらどうなるんだろうって考えたんです」

 そんな発想に“おっさん”が入ってくるまでには、どんな経緯があったのだろうか。

「職場ですごく尊敬している理想の上司から告白されたら、大好きだからこそ困るだろうなぁと。ライクなのかラブなのか、いやそもそもそういう問題なのか?とか。吉田鋼太郎さんとはAP時代『刑事七人』で初めてご一緒したのですが、色気もあって男性としてとても魅力的なのに、どこか可愛らしい部分が潜んでいて。この方に乙女心を持ったカッコいい上司を演じていただいたら、きっと愛されるヒロインになるのではないかと思いつきました」
 今回の連ドラ版では、田中演じる春田と、吉田演じる黒澤のキャラクターは前回そのままに、新たに春田に恋する後輩の林遣都、春田の幼なじみの内田理央、そして黒澤の妻の大塚寧々などが加わる。

「連ドラ化にあたり、もう一度ストーリーを一から作り直すことになりました。春田と黒澤は以前と変わらないキャラクターですが、黒澤には大塚さん演じる妻がいて、熟年離婚を切り出したときに、夫婦として、家族として、どう受け止めるのかというストーリーが加わります。前回、落合モトキさんが演じた長谷川と春田のお話は完結してしまっているので、新しい恋を生み出す必要があると思いました。林さんが演じる“ドSな後輩”の牧凌太は、子どもの頃からゲイという役なので、そのバックボーンや、彼の家族との関係性なども連ドラでは描いていきたい。また、黒澤も牧も「男性が好き」ということを周囲には言っていないのですが、同じ職場で男同士で恋をしている彼らにとって、避けては通れないテーマだなと思い、『Can you“Coming Out”?』という回を設けています。それを知られるのは恥ずかしいことなのか、人を好きになることは誰かに批判されることなのか、などきちんと描くつもりです」

観終わったときには「月9だった」と思ってもらえる

 貴島プロデューサーは、月9ドラマ世代。王道の恋愛ドラマが好きでこの世界を目指したという。だからこそ、今作のおっさん同士の恋愛を“恋愛ドラマ”の1つとして観てほしいと熱く語る。

「男女ともに働く時代に、価値観のすれ違いや、そこから生じる恋愛関係のもつれはどこにでもあるもの。今作は、そういった同世代の女性も共感できるポイントがたくさんある、ふつうの恋愛ドラマなんです。最初の企画意図にも結婚できない男女の今を切り取りたいという気持ちが第一にありました。なので、男性同士の恋というところでの社会的なメッセージを声高に伝えようとしているわけではありません。視聴者の方には、おっさんのラブコメがおもしろそうとか、どんな恋愛をするのか気になるといった入口でもいいんです。気楽に観ていただいて、笑ったり切なくなったり、「自分も恋したいな」と思ってもらえたらうれしいです。きっと観終わったときには、「月9の恋愛ドラマだった」と思っていただけると思います(笑)。そして、ダメ男・春田がいったい何を選ぶのか、ドキドキしながら見守っていただきたいです。今、ドラマの観方って変わってきているとは言われていますが、楽しんで元気になりたくて観ている人はまだまだ多いはず。それを信じて、“ふつうの恋愛ドラマ”を作っています」

土曜ナイトドラマ『おっさんずラブ』

テレビ朝日系 毎週土曜よる11時15分〜
キャスト:田中圭、林遣都、内田理央、大塚寧々、眞島秀和、吉田鋼太郎ほか
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/ossanslove/(外部サイト)
(C)テレビ朝日

提供元: コンフィデンス

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