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井浦新、『アンナチュラル』で変化した“俳優観”「視聴者の皆さんが役を育ててくれた」

金曜ドラマ『アンナチュラル』(TBS)で、壮絶な過去を背負ったクセ者の法医解剖医・中堂系役を好演した井浦新が、18年1月期放送のドラマを主な対象とした『第11回 コンフィデンスアワード・ドラマ賞』で助演男優賞を受賞した。ドラマもさることながら、井浦が演じた中堂は、役(キャラクター)単体でもSNSで熱狂的な人気を見せた。本作への出演を通して、井浦の“俳優観”にも変化があったようだ。

最後まで不確かで不安ななか、演じていた

――放送開始後、早い段階から、中堂系はインターネット上で多くの人に取り上げられるなど、人気となりました。
井浦 信じられませんでした。というのも、中堂という役は共演者の中でもかなり背負っているものやキャラクターが強烈でしたから、野木さんの描かれる緻密な台本のキャラクターに自分の芝居がついていっているのかとか、その台本を緻密に映像化しようとする演出の塚原(あゆ子)監督の求めに応じられているのかとか、すごく不確かで不安な中、演じていたんです。

 しかも、普通なら、収録期間中に、放送が始まって、視聴者の反応を感じて、こういうところは修正しようとか考えられるのですが、今回は、オンエアが始まる前に撮影が終わっていたため、それもできませんでしたから。共演者の方々が、血を通わせた人間としている中で、中堂系だけ漫画のキャラになっていないかとか、芝居としてやりすぎているのではないかとか、最後まで不安が残ったままで、現場でも「中堂系大丈夫かな」と言っていたくらいだったんです。

――しかし、見事、助演男優賞受賞となりました。
井浦 中堂系は、監督はじめスタッフ、共演者のみなさんと一緒に作っていった役でしたから、嬉しい前に、まず、みなさんに感謝の気持ちでいっぱいなのと、自分なんかがこのような賞をいただいてしまってごめんなさいという気持ちです。

――本作に出演したことで、役者として得たことはありますか?
井浦 今までは、セリフを覚えて、現場に立って、芝居をするのは自分だし、その瞬間に自分に何ができるかの積み重ねが役を育てていくことなのかなと思っていましたが、この作品に出演して、自分の考えていることなんてたかが知れているなと強く感じました。それは監督や共演者の方々の存在に加え、視聴者のみなさんがSNSなどで取り上げてくださったことも大きかった。役というのは、スタッフや共演者のみなさん、そして視聴者のみなさんが育ててくださるのだということを痛感させられた作品でした。

ドキドキワクワクしてもらえる復讐劇になるよう芝居を構築

――死を扱うなか、中堂は「復讐」というテーマも背負っていました。
井浦 テレビドラマとして、多くの方たちに伝わりやすく、かつ復讐劇というものをドキドキしながら、またある意味ワクワクしながら楽しんでもらえるように、1話から最終話にいたるまで、中堂の復讐心の描き方は監督と綿密に相談して組み立てました。例えば、恋人を殺害した犯人への復讐を描いた5話で、中堂の闇の部分を初めて出すために、そこまではあまり表さないように我慢するとか。
 また、5話で中堂がミコトに告げる「思いを遂げられて本望だろう」というセリフで中堂の闇の深さを表すために、そこに至るまでに笑わないはずの中堂を徐々に笑顔でUDIのメンバーと寄り添うように変えていこうとか。僕自身は死を招いた者への復讐については共感できませんが、そこは振り切って、野木さんの脚本に血を通わせ、復讐というエッセンスで視聴者の心をゆさぶることに集中して、恋人を殺した犯人に向かっていきました。

――演じていて、楽しかったことはありますか?

井浦 僕は人を殺したいと思うほどの復讐心を日常の中に感じたことがないので、中堂の吐くセリフは、僕の日常の中にはなかなかありません。でも、だからこそ、ものすごく脚色できるし、脚色することを楽しんでいました。5話の「思いを遂げられて、本望だろう」というセリフの時も、ミコトとの距離がだんだん近づいて、仲良くなってきたなと感じた瞬間に、あのセリフで一気に突き放すとか、そういうところは、自分自身、とても楽しみながら演じていました。

――ビジュアル的にも、これまでとは違った井浦さんが話題になりました。
井浦 最初の打ち合わせのときに、僕は、中堂は繊細な感じがないほうがいいと思って、髪を後ろに雑な感じで上げたらどうかと提案したんです。髪を下ろすと繊細なイメージが出てしまいますからね。でも、監督に即座で却下されて、前髪を下ろせと言われました(笑)。

ずんの飯尾さんとは2人で関係性を面白がって演じた

――UDIのメンバーについて、共演した感想をお聞かせください。
井浦 石原さとみさんは、3回目の共演なのですが、30代になったさとみさんは、今までのお芝居とは違う、次のステージにちゃんと行っているんだなと、すごく感じました。窪田正孝くんのお芝居も素晴らしかったです。まだ若いのにこれだけの芝居ができるなんて、これから歳を重ねていくにしたがって、ものすごく楽しみな役者さんだと感じました。
 市川実日子さんは10代のころから知っているので、今、時を経て、テレビドラマの現場で一緒に仕事ができるようになって、お互いに続けてきて良かったね、なんて話をしました。東海林と中堂ってなかなか会話する機会がなかったのですが、市川さんがどんどん東海林というキャラクターを現場で自ら作っていく姿を見て、素晴らしいなと思いましたね。松重豊さんは、舞台で共演させていただいた経験があるのですが、今回、UDIのメンバーのキャラクターを全部受けて、まわしていく姿や、一番長セリフが多かったのですが、サラッとやってのける姿を見て、やっぱりすごい先輩だなと思いました。

 みなさんキャラクターの役割分担が明確にある中で、それぞれの魅力を十分に発揮されていたし、それぞれの芝居の質感とか、作品への情熱とか、役への責任の取り方とか、素晴らしいなと思いました。

――坂本と中堂との掛け合いも話題となりましたが、演じるずんの飯尾和樹さんはいかがでしたか?
井浦 年齢が近いこともあって、2人して面白がって演じていました。2人の関係性をどこまでやりすぎにならないギリギリのところで面白くできるか、テストを重ねながら、作ったのですが、もっと強く言ったらどんな反応するかなと思ってやってみたら、意外と飯尾さんは打たれ強かった(笑)。飯尾さんは人としてすごく良い方で、待ち時間に結構2人で静かに深い話をしたりしていました(笑)。

――審査にあたった有識者のコメントの中には、「これまでの井浦さんの俳優人生を集大成したような役柄だったと思う」という声もありました。
井浦 まだまだやらなければいけないことはたくさんあるし、集大成かどうかは自分ではわかりませんが、中堂を楽しんでくださった視聴者のみなさんの声はもちろん、多くを学ばせてもらった役だったと思います。

(文:河上いつ子/撮影:ウチダアキヤ)

提供元: コンフィデンス

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