EMPiRE、カセットテープ・デビューの狙い「グッズとしての価値が必要」
顔出し前からフォロワー数1万人、期待の新生アイドル
「インディーズ時代のBiSやBiSHは、過激なことをしても許される世界観をファンと共有していました。だけど今はあまり過激なことをすると、お客さんに嫌われてしまうようになった。それがメジャー感というものなのかもしれませんが、それなら最初からメジャーの土俵で勝負できるアーティストを手がけてみようと結成したのが EMPiRE です。同世代や少し年下の女の子たちにかっこいいと思ってもらえるグループに育てたいと思っています」(渡辺氏)
EMPiREのメンバーはWACKのオーディションを受けた理由として「普通のアイドルがやらないことをやっててかっこよかった」と口を揃える。しかし渡辺氏の意向を理解した上で、「WACKの初めての試みという面白さもあるし、渡辺さんを信じています」(MiDORiKO EMPiRE)、「BiSH さんの妹分として売り出してもらえるのはありがたいけど、早くEMPiRE として自立したい」(YUKA EMPiRE)と意気込みを語っている。
昨年8月23日にEMPiRE の結成を発表。同時にメンバーのTwitterもオープンしたが、「フォロワー数が1万人を超えるまでメンバーの顔出しNG」という縛りを設けた。ところが、一夜にしてフォロワー数が 6000 名を超える事態となった。「ユーザーというのは、ある程度の担保がないと動いてくれません。だけど『WACKならダサいことはしないだろう』といったような安心感があると、青田買いに走りたくなるんだと思います。そういう意味ではWACKへの期待値がこれまで以上に高まっているのを感じました」
選民意識を植えつけたファンクラブの入会金は3万円
「3万円という価格設定は『ファンに選民意識を植えつける』というある種の実験的な試みであり、高額だからこそ、その人たちにとってEMPiREがとても大切なものになる。一方で僕らにも、ファンにとってEMPiREをいかにして自慢できるコンテンツに育てるのかという責任感も生まれたと思います」(渡辺氏)
楽曲はこれまで 3 作をネットで無料配布している。この理由を渡辺氏は「楽曲に自信があるので、まずは聴いてもらうハードルを下げたかった」と語っている。
「初のフィジカル作品をカセットテープにした理由は、CDと違って1本1本音が違うという遊び心や特別感を味わってもらいたかったから。今の10代にはCDプレーヤーすら触れたことがない人もいるそうなので、フィジカル作品は音源として以上にグッズとしての価値が必要なのかもしれません」(渡辺氏)
5月1日には、東京・マイナビ BLITZ 赤坂でのワンマンが決定。この日からYUiNA EMPiREがBiS 2ndに移籍し、2人の新メンバーを加えた6人体制で始動する。YUiNA EMPiREが「5 人時代も最高だったねとみんなの思い出に残るよう、全力を出しました」と語るように、5人のEMPiREによる最初で最後の1stアルバムの評価が気になるところだ。
(文:児玉澄子/写真:大黒屋尚保)
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