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「遊び心」を意識、神木隆之介の現場での心得

 木曜劇場『刑事ゆがみ』で、初の刑事役に挑戦した神木隆之介が『第10回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』で「助演男優賞」に輝いた。これまで繊細でピュアな役柄を多く演じてきた神木だが、本作では正義感と野心が強く、少々腹黒な一面も覗かせる若手刑事をエネルギッシュに演じた。“バディを組んだ”主演・浅野忠信との向き合い方や、話題作が続く神木流の現場での心得について尋ねた。

浅野忠信とは同級生感覚で接するよう心がけた

――まずは、「助演男優賞」を受賞された今の率直なお気持ちをお聞かせいただけますか?
神木隆之介 初めての刑事役ということで苦労することもたくさんあったのですが、羽生虎夫という役が大好きでしたし、浅野(忠信)さんとお芝居出来るのが本当に楽しくて。頑張った後にこうして評価をいただけたのはすごく嬉しいです。
――“真面目で腹黒”という羽生という人物は、これまで神木さんがあまり演じてこられなかったようなキャラクターでしたが、どのように役作りをしていかれたのでしょうか。
神木 外見的なところで言うと、やっぱり男らしさを出すことを意識しました。歩き方だったり、声を少し低めに出したり、あとは表情など細かいところを注意していました。特に演出の西谷(弘)さんが、弓神(浅野)と話している時の僕の表情にすごくこだわられていて、弓神に対して冷たくあしらわないといけない時に、それが足りていないと、西谷さんから「神木くん、ちょっと今、優しさが出てたから」って指摘をいただいたり(笑)。でもいろいろ細かく言ってくださったので、だいたい1、2話くらいで調整しながら役を掴んでいくことができました。あとは、相手を陥れようとする弓神と羽生の独特な関係性を築くためには、いかに浅野さんに気を使わないでいけるかがポイントだと思ったので、浅野さんに「私生活でもどんどんツッコんでいきます」って言ったら、「どんどん来てよ!」とおっしゃってくださったので、撮影外の時も同級生みたいな感覚でツッコんだり、話しをさせていただいたりしました。

偏屈な天才刑事・弓神適当とバディを組む羽生虎夫役を好演した神木隆之介 (C)フジテレビ

偏屈な天才刑事・弓神適当とバディを組む羽生虎夫役を好演した神木隆之介 (C)フジテレビ

――浅野さんとは初共演ですよね? なかなか勇気がいることでしたね(笑)
神木 浅野さん自身、本当に弓神さんみたいな方で、いろんなところでボケてくださるので、背中とかも遠慮なく本気でバシバシ叩いていましたし、それによって早い段階から弓神と羽生、2人の面白い関係性が築けたように思います。浅野さんって本当に優しい方で、広い心を持っていらっしゃる浅野さんだったからこそ、僕もこれだけ暴れることができたんだと思います。

――視聴者、有識者ともに、弓神と羽生の絶妙な“バディ感”を支持する声が非常に多く聞かれました。お2人の醸し出す空気感が作品のグレードをさらに上げていたように思いますが、浅野さんとのエピソードで印象に残っていることはございますか
神木 最初にプロデューサーの藤野(良太)さんから、「積極的に怒られにいこう=挑戦的なことをやろう」ということをおっしゃっていただいていたので、絶対に今までにないドラマにしたいと思っていましたし、浅野さんとも一筋縄にいかない方が絶対に面白いですよね、と話していて。それこそ、第9話の予告映像を『笑っていいとも!』風にしてみたりとか(笑)。特に9話、最終回は、クライマックスで重厚感のあるシーンが多かったので、現場で話している中であえて予告では思いっきりふざけようと、ああいうことをさせていただきました。

木曜劇場『刑事ゆがみ』より(C)フジテレビ

木曜劇場『刑事ゆがみ』より(C)フジテレビ

体術に初挑戦、最初はすごく苦労した

――あとはやっぱり、今作の中で注目したいのはアクションシーン。すごい迫力でした。
神木 1話、2話は特にアクションシーンが多かったんです。相手を投げ飛ばしたり、追いかけつつ自分も倒れたりとか。僕、体術をやったことがなかったので、武器を持った時はいいのですが、素手で闘う時の作法に最初はすごく苦労しました。それこそ、オープニングのタイトルバックの撮影もすごく大変でした。投げたり投げられたり。投げられるほうがまだ良くて、相手を投げるのってすごく難しいんです。動きの多いシーンは、浅野さんも僕もお互い結構疲れながらという感じでしたが、撮影は毎日本当に楽しかったです。

――番組のSNSなどを拝見していても、すごくいい雰囲気の中で撮影されているんだなという現場のムードが感じられました。神木さんが出演されている作品って、今回の『刑事ゆがみ』をはじめヒット作がたくさんありますが、それを作り上げる要素として、神木さんのお人柄みたいなものも影響しているのではないかなと、個人的に感じています。
神木 いや、僕ではなく、巡り合わせというか、それが大きいです。今まで本当に素敵な方たちと一緒に芝居をさせてきていただいているので、すごくありがたいなと思います。
――常に現場で心がけていることだったり、ご自身の中で貫き通している信念みたいなものはございますか?
神木 楽しい現場になるように、ということは意識しているかもしれません。もちろん、集中するところはしますけど、今回みたいに遊び心がある現場のほうが絶対に良いと思っていて。今までもそういう現場が多かったので、ありがたいです。

――映画にドラマにと幅広くご活躍されておりますが、連続ドラマの醍醐味はどういう部分だと思いますか。
神木 放送後に視聴者の方の反応を見て、もっとこうした方が良いとか、こういう風にもできるよねとか、修正の余地があるところが一番良いなと思います。例えば、今回の『刑事ゆがみ』では、視聴者の皆さんに僕たちが意図していなかった部分で盛り上がっていただいたり、解釈をしていただいたりしました。良い反応も悪い反応も放送後リアルタイムで返ってくるので、やりがいがあるというか面白いなと思います。第7話で昨年の流行語の「まじ卍」っていうセリフが出てきましたけど、あれは休憩中に皆さんで話していて盛り上がった流れから反映されたものなんです(笑)。はやっている言葉とか、物とかを取り入れられるのもドラマならではだと思います。

――では最後に、視聴者の皆さんにひと言お願いします。
神木 『刑事ゆがみ』という作品を楽しんでいただき、本当にありがとうございました。僕自身、これからもっともっと面白いことをやっていきたいなと思いますし、俳優としても、人としても成長していきたいと思っていますので、見守っていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

(写真:草刈雅之)

提供元: コンフィデンス

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