座長・浅野忠信もアイデア提案、『刑事ゆがみ』こだわりのドラマ作り
男性を主人公に置きつつも、木10枠の本質はブレていない
「一緒にプロデュースする藤野(良太)さんやメーンで演出を務める西谷(弘)さんと、『これまで刑事ものは男性による男性のための作品が多かったけど、男性による女性のためのドラマをやったらどうだろう』と話したことから、今回アプローチを工夫することになりました。そのため、浅野さん演じる弓神適当、神木隆之介さん演じる羽生虎夫のキャラクターの掘り下げを行ったのです」(高田氏/以下同)
弓神は相手に警戒心を与えず対象の闇を引き出し、そこに歪みを見つけるスタイル。そこに、これまでナイーブな役柄を多く演じてきた神木を投入し、“腹黒”の要素をプラス。キャラクターに深みを持たせることで物語に奥行きを与え、また、そこはかとなく漂う男の色気を演出した。
「今回、原作者の井浦先生とお話をした結果、一番外してはいけないのは弓神という男のあり方だと脚本家、監督、プロデューサーで徹底共有しました。弓神は、ほかの人なら偏見や先入観で固まってしまうところを、多面的に見て1つの真実に辿り着いていく人物です。そこを守り、その上で挑戦を盛り込むことは井浦先生も認めてくださった。結果、原作ファンからも好意的な反応をいただいています」
カタカナ表記のエンドロールは浅野の発案
「始まる際、浅野さんは『率先して怒られることをやっていこうよ』と話してくれました。これは浅野さん流の『皆で挑戦していこう』という言葉。例えば、刑事ドラマは誰が犯人かという“WHO”で考えることが多いのですが、本作ではなぜその犯行に及んだのかという“WHY”を重視。あえてわかりやすい構造にしなかったのもチャレンジの1つです」
挑戦的な作品を目指し、多くの「遊び」も盛り込んだ。例えば第5話では、これまでは漢字表記だった浅野の名が、いきなりカタカナの「アサノタダノブ」表記でエンドロールに登場。その後、男たちに絡まれるヒズミ(山本美月)を「謎の男性」が助けるというラストシーンが続いて放映された。
「SNSの発達によって、ドラマに伏線や謎を織り込むと、視聴者が深読みしてくれる流れが生まれました。これは過去、学校や職場でドラマの感想を話し合うスタイルが、インターネット上でやり取りする形に変化したことを表します。そうした看過できないSNSの発信力を活かすため、本作では記者出身のSNS専用ディレクターも起用。
投稿する写真の撮影など、キャストの皆さんが積極的に参加してくれたり、ユニークなアイデアをくれたりしているので、とてもやりやすく、ありがたいです。今でも紙媒体や広告のパワーのほうが強いのですが、コストパフォーマンス的に侮れない存在になっていると私は考えています」
文/衣輪晋一
Profile/高田雄貴氏(たかだゆうき)
1984年生まれ。2009年にフジテレビジョンに入社。2015年に森川葵主演の『テディ・ゴー!』で初プロデュース。以降、『OUR HOUSE 』(16年4月期)、『Chef 〜三ツ星の給食〜』(16年10月期)などの作品を手がけ、現在は藤野良太氏と共に『刑事ゆがみ』をプロデュースする。
1984年生まれ。2009年にフジテレビジョンに入社。2015年に森川葵主演の『テディ・ゴー!』で初プロデュース。以降、『OUR HOUSE 』(16年4月期)、『Chef 〜三ツ星の給食〜』(16年10月期)などの作品を手がけ、現在は藤野良太氏と共に『刑事ゆがみ』をプロデュースする。