LOVE PSYCHEDELICO、4年ぶりアルバム『LOVE YOUR LOVE』で「新しい扉開くことできた」

世の中全体的に、音が平均化してきてしまっている

──「余計な力が働かない」というのは、自分たちでレコーディングをハンドルできる環境があるからでしょうか? 本作もレコーディングのエンジニアリングからミックスまですべて2人で完成させたとか。
NAOKI そうなんです。もちろんレコード会社に手伝ってもらうこともあるけど、例えばスタジオにない機材をレンタルするのも自分たちでやるし。
KUMI あと今回は、けっこう鍵盤も買ったんですよ。「クラビネットの音入れたいよね、じゃあ買っちゃおうか」とか、「オルガンを使うなら、レスリースピーカーが欲しいよね」とか。
NAOKI 今回、初めてKUMIがいろんな曲で鍵盤を弾いているんです。
KUMI 曲作りの段階で「こんなフレーズが合うかなぁ」とかいろいろ試し弾きをしていたんですが、レコーディング中にも触っていたら、NAOKIが「それ録っちゃおうよ!」みたいになって。
NAOKI すごい“生っぽい”レコーディングで面白かったですね。
KUMI ずっとそういうスタイルで制作すると決めたわけじゃないんですが、あくまでトライという意味で。
NAOKI うん、トライだね。なんでそういうことをやってみたくなったかというと、今って世の中全体的に音が平均化しているなと思うんです。それはやはり、ミックスという作業がすごく洗練されて、極端なことを言うとどんな音でもキレイにまとまってしまうからであって。
──“音のデコボコ”のようなものが、ならされてしまっているということですか?
NAOKI そう。でも、音楽の愛おしさって、そういう味のある肌触りにこそあると思うんですよ。それこそ、今また50周年で話題になっている、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』も、あっちからドラムが聴こえてきたり、こっちで小さな音が鳴っていたり、そのデコボコがカッコ良いいんですよね。

──『サージェント・ペパーズ〜』もですが、本作もハイレゾ音源を出されています。最新技術ではあるけど、ハイレゾって実はそういう生っぽいデコボコを楽しむものなのかもしれないですね。
NAOKI みんなで音を鳴らしたら小さな音も生まれるし、大きな音はよく聴こえるって自然なことだからね。そういう意味では、「レコーディングでちゃんと録っているんだから、過度なミックスはやめよう」というトライをしたのが、このアルバムなんです。

──初回盤には4曲のデモアコースティックバージョンも収録されています。
KUMI うん、すっごく未完成のもの。「Place Of Love」もストリングスが入っていないし、だからこそより曲の核を感じてもらえるんじゃないかなと思います。
NAOKI 全体として、いい意味でのプリミティブさが残ったアルバムになったと思うんですね。作業工程を想像させるような。だから今回は思い切って、さらに完成されていないテイクも聴いてもらいたいなと。人によっては、「俺だったら、もっとこういうギターを弾くぜ」みたいな楽しみ方もできるんじゃないかと思います(笑)

(文:児玉澄子)

提供元: コンフィデンス

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