小池栄子、『母になる』いまの自分にしかできない役「同じ女性の代弁者のつもりで演じた」
<動画コメント>私自身と重なる役を任せてくれたことがうれしい
結婚して10年、夫婦2人。いまの私にしかできない役
小池栄子いま思い返してみると、本当につらい役でした。世の中には、子どもがいないこと、できないことに悩みを持つ女性がたくさんいると思います。私も結婚して10年、今年36歳で子どもはいません。そういう女性たちの代弁者になったつもりで演じました。私も麻子と同じように周囲の人たちから「お子さんは?」と聞かれることがよくあって。私はあまり気にしないタイプですが、まわりには気にする友人もいます。神経が擦り切れる思いで撮影をしていた日々のなかで、麻子を応援したいという声もたくさんいただき、すごく励みになりました。
――オファーを受けたときはどう思いました?
小池栄子難しそうな役だと思いましたが、チャレンジしがいがあるからやってみたいと思いました。脚本が進むに連れて、こんな展開になるんだって驚かされましたね。途中で麻子の過去を知って、あまりのきつい内容に、台本を読みながら泣いたのを覚えています。
麻子といまの私は似た境遇というか、私は麻子のように被害者意識はないんですけど、結婚して10年経って子どもがいないという状況で、いま私がこの役をやることは、私自身と重ね合わせて観る人もきっといるんじゃないかなと思いました。櫨山プロデューサーは、自分の神経をすり減らしながら役者に寄り添ってくださる方なのですが、そういう題材を私に任せてくれる心意気といいますか、信頼されている気がして、とてもやりがいを感じました。「きっといまの私にしかできない役だと思うからがんばります」と話したのを覚えています。
撮影中にスタッフとの決起集会があったのですが、カメラマンの方からは「一瞬も逃さずにいいカットを撮るから」と言っていただいて、とくに中盤から後半にかけてはいつも以上に気合いの入った現場になりました。
沢尻エリカさんに太刀打ちするには魂を込めないとダメ
小池栄子こういうテーマをこういう角度から取り上げて大丈夫なのか、麻子の過去と子どもを連れ去った理由は、さまざまなところからクレームが来るんじゃないかとプロデューサーと話したこともありました。男性スタッフからも、麻子の過去や結衣(沢尻エリカ)との対決に対して賛否両論あり、台本を読むのがきつかったという声がありました。でも、賛否両論が巻き起こる作品は、スタッフ、キャストみんなのチャレンジがあり、そんな作品に携われたことは幸せだったと思っています。
――小池さんにとってもすべてを懸けた作品だった。
小池栄子続編があったとしても絶対にできないというくらい、すべてを出し尽くした3ヶ月でした。それくらい気持を込めて演じた役なので、ご覧になっていただいた方々に「あの時期には麻子が生きていた」と感じていただけていたらうれしいです。
結衣を演じた沢尻エリカさんに太刀打ちするにはそれくらい魂を込めないとダメなんです。すごい迫力なので(笑)。それまでに一緒のシーンがいくつかはありましたけど、できるだけ接しないようにしていたので、ついに対面というシーンは緊張しましたね。ずっと落ち着きがなかったです(笑)。鋭く切り込んだ作品でしたが、皆様の心に響くものがあったのならば、すばらしい脚本と共演者の方々のおかげです。
歩んできた経験を活かせるコメディをやるのが夢
小池栄子本当にいろいろな役に出会いました。なかには理解しがたい役もありましたが、役を演じる上では、自分がいちばん理解して、いちばんの味方でいたいという気持ちを大事にしています。ただ役を演じるだけではなく、わからないことを知っていく過程が楽しいんですよね。
――次にやりたい作品の志向は?
小池栄子コメディをやりたいですね。今回の麻子は神経を使う難しい役だったので、その反動もありますが(笑)。コントの延長くらいの大爆笑してもらえるようなドラマに出演したいです。以前『ワンナイR&R』(00年〜06年/フジテレビ系)でコントをやらせていただいていて、雨上がり決死隊の宮迫さんに会うと「当時のメンバーで集まってコントをやりたい」って話になるんです。あれから10年以上経っているので、私がこれまでに培ってきたものを活かして全力でコントをやるというのが夢ですね。もし、新しいコント番組が立ち上がって、同世代の女優が出ていたらすごく嫉妬しちゃいますもん(笑)。
(文:編集部・武井保之/撮り下ろし写真:草刈雅之)