ベトナムのハノイから東に約180kmに位置する世界遺産「ハロン湾」は、翡翠色と言われる水と見事な奇岩が並ぶ名勝地です。水墨画で有名な中国の名勝地「桂林」は山水第一と言われますが、ハロン湾は「海の桂林」とも呼ばれるほどで世界中から観光客が訪れます。
ハロン湾の楽しみ方は奇岩だけではありません。水上生活をする地元の人々との触れ合いや、あまり知られていない鍾乳洞も。一風変わった旅を楽んでみましょう。
朝日のハロン湾入り口は黄金色
ベトナムの世界遺産「ハロン湾」の朝は黄金色。遠くに見える奇岩が旅の魅力を引き立ててくれています。
ハロン湾観光はツアー船、クルーズ船を使うことになります。船に乗ってしばらくすると、いかにもベトナムらしい小船を多く見ることが出来るでしょう。
大小の船が近寄って来ては販売される果物や小物類。海への落下に注意しながら購入してみるのも、楽しい時間となるのでは。
ハロン湾クルーズ
1994年に世界遺産に登録されて以降、格段に観光客が増えました。それまでは美しさでは知られていたものの交通が不便であり、ハノイ市内から片道7時間以上かけて観光に来る場所だったのです。
その後道路は整備され今では3時間程度と便利になり、ベトナム観光の代名詞とも言える場所となっています。
港からのクルーズが始まると、両側には見事な岩が並び、また湾の色も独特な翡翠色と言われるのが分かります。
水上生活者の村
港を出て30分程で到着する水上生活者の村。ここの村人は観光用で住んでいるのではありません。実際に水上で生活をしている人たちで、観光と漁業で生計を立てているのです。
ところでベトナムは台風が通る地域でもあり、嵐のときに村人はどうしているのでしょう。
入り江の周囲は切り立った岩になっていることから、岩陰となり生活をすることが可能なのです。なお、水上で生活していても、きっちり税金を払っていることも面白いと言えるのでは。
クルーズ船の多くは休憩を兼ねて、水上生活者の村で停泊します。ここで新鮮な魚介類を購入して調理してもらい、味見するのも楽しい時間となるでしょう。
ところでベトナムの通貨はドン(Dong=VND)ですがご覧の通り、日本では見ない桁数はとても高額に感じてしまうのでは。
奇岩を巡る
水上生活者の村を出発すると、再び奇岩が立ち並びます。ここは観光ポイントの一つで夫婦岩と呼ばれています。
狭い場所、広い場所と様々な所を通りながら船は進みますが、いったいどのくらいの奇岩があるのでしょう。その数はおよそ2000と言われ、島を含むと3000と言われます。しかしながら全容はまだ分かっていません。
あまり知られていませんが、ハロンの文字には漢字があります。「下龍」と書きますがここに一つの伝説が。
その昔、外敵に苦しめられていた地元民を助けるために龍の親子が下って来ました。敵に向って宝石を放ち退治しますが、その宝石が形を変えて奇岩となったという話が残されています。
鍾乳洞を楽しむ
クルーズ船ツアーに参加すると、鍾乳洞を巡る旅がセットになっていることがあります。その場合は船を降りて案内に従って歩くだけで、手軽に鍾乳洞探検が可能。奇岩だけではなく鍾乳洞を楽しめるので、乗船チケットを購入する際には確認をしておきましょう。
ハロン湾の鍾乳洞で上陸できる場所は6箇所となりますが、まだまだ未知なる鍾乳洞が多数存在しています。観光で行く鍾乳洞は天候、状況により変化することがありますので、気になる方は事前に確認をして下さい。
観光用に整えられた鍾乳洞の中には、発見されてから20数年程度という場所もあります。発見の経緯ですが、ある漁師が波が荒くなってきたことから避難できる場所を探していて偶然見つけたというものであり、今では美しいLED照明を使った観光地となっているのです。
見所が多いハロン湾はクルーズ船だけではありません
ハロン湾は奇岩ばかりが脚光を浴びますが、水上生活者の様子や鍾乳洞と他の楽しみ方もある一大観光地。ぜひとも足を運んで世界遺産を堪能しましょう。
2018年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
ユネスコハロン湾公式情報(英語)
http://whc.unesco.org/en/list/672/
【トラベルジェイピー・ナビゲーター】
大里 康正