• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
  • ホーム
  • おでかけ
  • スイスの世界遺産「ザンクト・ガレン修道院」敷地内に建つ大聖堂

スイスの世界遺産「ザンクト・ガレン修道院」敷地内に建つ大聖堂


スイスの北東部に位置するザンクト・ガレンといえば、世界遺産「ザンクト・ガレン修道院」の附属図書館が有名ですが、こちらの大聖堂も一見の価値があります。
同じ敷地内にあり、1755年から1767年にかけて図書館の改築時に建てられたもの。同じ職人の手による圧巻のバロック様式は息をのむ壮麗さです。

宗教対立によって生まれた、独特な構造の大聖堂

写真:赤松 珠抄子

修道院の大きな中庭から見た大聖堂。そうなんです、これは人々が入ってくる道路の反対、東側にあたるのです。
通常、大聖堂は入口が西側で、東に向かって進んでいく構造になっています。よって塔も教会堂の顔である西側に建てることが多いのですが、ここでは逆。なぜか? それは過去の宗教対立に理由があります。
もともとカトリックが建てていた教会エリアに、プロテスタントが街を占拠するかのように壁を建設してしまったことが発端。そのため塔を建てる場所が無くなり、反対の東側に建てざるを得なかったのです。同時に、入口も西側に取れず北側の中程になってしまいました。こうして変わった構造の大聖堂が誕生したというわけです。
構造一つとっても、その違いは歴史の生き証人なんですね。

黒い天井画と白い柱のコントラストが美しいバロック建築

写真:赤松 珠抄子

バロックらしいギラギラ感はあるものの、天井画の黒く深い色味と青みがかった白い柱がとても対照的。柱の間に多く取られた大きな窓からの光も加味され、荘厳で高貴な空間に仕上がっています。
大聖堂建設に際し、時を経ていくつもの案が交錯する中、オーストリア人の建築家ペーター・トゥンプ(Peter Thumb)によって今の形に決定。南ドイツにおいて、ロココ建築では知られた存在だった彼の代表作の一つになりました。

写真:赤松 珠抄子

天井画は、ヨゼフ・ヴァネンマッハー(Josef Wannenmacher)が手掛けました。
ザンクト・ガレンや修道院にとって大事な聖ガルスや旧約聖書などを題材として、雲の層で分けながら華麗に描かれています。
朝一番で訪れると、誰もいない張り詰めた空気に心洗われます。

写真:赤松 珠抄子

彫刻や細工が細やかで、煌びやかなバロックらしい説教壇。
彫刻家であり芸術家のドイツ人、ヨハン・クリスティアン・ヴェンツィンガー(Johann Christian Wentzinger)がメインとなって手掛けています。顔が広かったため、他のいろんな技を持つ職人の手配も任されました。大きな歴史的プロジェクトになると、こういう人が必要なのかもしれません。
現在、ドイツ南部のフライブルクにある後期ゴシック様式の彼の邸宅は、一部、博物館となっています。この大聖堂に訪れたら、どんな場所でアイデアを練っていたのか見てみたくなりますね。

懺悔室のこだわりは、すべて違うモチーフの彫刻

写真:赤松 珠抄子

中央に通る身廊、その両脇にある側廊には懺悔室が並びます。ベルベット調の重厚な緑のカーテンが引かれ、繊細な木の彫刻で覆われています。
これだけの発想力と揺るぎない手技は、思わず見惚れてしまいます。

写真:赤松 珠抄子

今でも美しい曲線が崩れない高い技術、聖なる空間を演出する装飾性豊かなデザインは、ボーデン湖の近くに居を構えていたガブリエル・ローザー(Gabriel Loser)が中心となって手掛けたもの。
木の色味だけでなく金色や淡いパステル・グリーンを合わせるあたり、時代を反映した懺悔室となっています。

修道院が今では男子中学校に?

写真:赤松 珠抄子

1983年に登録された世界文化遺産「ザンクト・ガレン修道院」。これは附属図書館の入口から眺めた中庭です。
実は「ザンクト・ガレン修道院」は、現在、修道院の機能はありません。何と驚くことに、この建物は男子中学校として活用されているのです! 校舎の一角に図書館があるので、階段を歩いていると元気な少年に出会いますよ。
一方、図書館の機能だけは存続しています。使用目的を申請し許可が得られれば実際に閲覧ができるのです。意外ですね。
そして、この図書館の状態を維持するにも驚愕の事実が。これだけ貴重な空間で、貴重な本を扱うのに、館内を見ると湿度計などが一切ありません。図書館に限って言えば、なんと、訪問者の呼吸が良い状態に保つ秘訣になっているのです。
スイスを訪れたら、是非、ここで貴重な呼吸をしてみてください。
(図書館の詳細は、下記「関連MEMO」から御覧ください)

世界遺産「ザンクト・ガレン修道院」の敷地内にある大聖堂、基本情報

住所:Klosterhof 6a,9004 St.Gallen
電話:+41-(0)71-227-33-81
アクセス:チューリヒから電車で約1時間
注意事項:礼拝中は見学不可
■2018年3月の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■ザンクト・ガレンの街や修道院附属図書館、ホテルについては、下記の「関連MEMO」のリンクから御覧ください。

■関連MEMO
スイス政府観光局HP-ザンクト・ガレン
https://www.myswitzerland.com/ja/st-gallen.html
スイス北東部に位置する、世界遺産を有する街ザンクト・ガレン
https://www.travel.co.jp/guide/article/31608/
スイスの世界遺産「ザンクト・ガレン修道院」の附属図書館はバロック建築の真髄
https://www.travel.co.jp/guide/article/31498/
世界遺産のある街ザンクト・ガレンで暮らすように過ごせる「ホテル ヴァイセス クロイツ」
https://www.travel.co.jp/guide/article/31738/

【トラベルジェイピー・ナビゲーター】
赤松 珠抄子

提供元:トラベルjp 旅行ガイド

あなたにおすすめの記事

オリコントピックス