ディーゼル戦線異状あり
クリーンディーゼルエンジンを搭載する「フォルクスワーゲン・パサート」が、いよいよ日本上陸。その乗り味にはどんな特徴があるのか、ワゴンの上級モデル「パサートヴァリアントTDIハイライン」に試乗して確かめた。
メーカーの気合が伝わってくる
これはかなりスポーティーカーである。というのが、走り始めての第一印象だった。正直、ビックリした。意外の元凶は、こう申し上げてはフォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)にケンカを売るようだけれど、ま、お買いにならないとは思いますが、ならないでほしいのですけれど、ボディーサイドにドーンと貼られたTDIのステッカーにも一因があった。カッコ悪くないですか。
もちろん担当者の心情はわかります。排ガスの浄化システムの不正ソフトウエアをめぐる「ディーゼルゲート」の危機を乗り越え、待望久しいTDIがついにやってきた! 日本市場における輸入車のディーゼル比率はここのところ2割を超えている。モデルによっては半数以上だ。販売の現場としてはまさに「待ってました!」だったろう。
しかるに本国から送られてきたTDIは、ガソリン1.4リッターのTSIと外見上、なんにも変わらなかった。なぜ変わらないかといえば、TSIとTDIはガソリンとディーゼル、違うのは燃料だけの、同じ1枚のカードの裏表、あるいは色違い、みたいなモノであることに意味があるからである、お互いにとって。21世紀のクリーンディーゼルと、ガソリン直噴ターボはそういうイメージづくりがなされている。
されど、少なくともキャンペーン用のクルマにTDIと書いておかなければ、いったいどうしてこのクルマがTDIだと知らせることができましょうぞ、と時代劇みたいなセリフまわしではいわないだろうけれど、VGJの担当者は憤慨されるに違いない。もし、おことが担当者であったら、いかに対処しましょうぞ。それに、である。売り物には貼ってないのであるから、気にする必要はみじんもござらん、TDIのステッカーは。というようなやりとりを書いていると長くなるだけですけれど、申し上げたかったのは、繰り返しになるけれど、パサートTDIはスポーティーな仕立てである、ということである。...