幸せなアナタにささぐ300ps
スバル独自の4WD機構がかなえる、高い運動性能が自慢のスポーツワゴン「レヴォーグ」。300psの高出力と400Nmの大トルクを発生する高性能グレード「2.0GT-S EyeSight」に試乗し、マイナーチェンジを経た“最新版”の、進化のほどを確かめた。
あの“名車”を思い出す
ボクがまだ自動車の免許を取ったばかりの頃、ニッポンの名車である「日産スカイラインGT-R」(R32)を初めて運転して、頭の中で膨らみまくったさまざまなイメージとは裏腹に、あまりにスムーズな加速と快適な乗り味、そして高速安定性の高さに驚いたことがある。
もちろんこれはノーマルカーの味付けであり、エアクリーナーをダイレクトフロータイプに変えてちょこっとブーストを上げてやるだけでGT-Rは悪魔の乗りものに変身するのだが(笑)。期待を大きく裏切られた割に当時のヤマダ青年は、この紳士的な乗り味に好感を持った。当時フルローンを組んで無理やり手に入れた「アンフィニRX-7」の低速トルクがあまりに貧弱で、その割にアクセルを踏み込めば凶暴極まりない走りをしたそのギャップが大きかったのもあるのだが、GT-Rが持つ速さだけでは語れないその質感というものに、高級車が持つ大人びた世界観や威厳のようなものを感じたのだ。ただ、それ以降のGT-Rは、R32が持っていたロードゴーイング性能よりも、足まわりをがちがちに固めた子供っぽい世界観を選んでしまったのだが。
なぜそんな回想から話し始めたのかといえば、このレヴォーグ2.0GT-S EyeSightに乗って、筆者は当時の感覚を自然と思い出したのである。
もちろん記憶はたいてい美化されるものだし、直6と水平対向4気筒がそのまま比較できるとも思わない。それでも、その雑味のないステアフィールや、リニアなターボのアクセル追従性、4WDがもたらす出足の素早さは、懐かしい記憶を呼び覚ますのに十分なポテンシャルだった。...