『コピー1枚とれなかったぼくの評価を1年で激変させた 7つの仕事術』の著者Shin氏と、近著『強みを活かす』が話題沸騰のサイバーエージェント取締役人事総括の曽山哲人氏との特別対談。落ちこぼれだったShin氏が、人材育成のプロフェッショナルから「成長の秘訣」に迫る! 連載最終回は「コミュニケーション能力」について。「コミュ力」という言葉にとらわれすぎると、あるワナにかかってしまうといいます。(構成/両角晴香、撮影/宇佐見利明)
「コミュ力」という言葉でごまかさない
【第1回記事 http://diamond.jp/articles/-/143666 】
【第2回記事 http://diamond.jp/articles/-/143829 】
【第3回記事 http://diamond.jp/articles/-/143832 】
Shin 曽山さんは、コミュニケーション能力(以下、コミュ力)についてどう思われるでしょうか?
曽山 私は「コミュ力」という言葉自体をほとんど使いません。そもそも「コミュ力が大事」なんて言ってる時点で、思考が一時停止してしまうんです。
Shin 一時停止?
曽山 はい。「コミュ力」と一言で言ってしまうと、あまりに漠然としていないでしょうか? コミュ力と言っても、雑談が苦手な人、プレゼンが苦手などさまざまです。もし、コミュニケーションで何か不安を抱えていると感じているなら、「そもそも自分が悩んでいるコミュ力って何だっけ?」と要素分解することから始めてみるべきです。
Shin 確かに……コンサルティング業界では、問題を解決するために「(1)問題を明確化すること、(2)原因を究明すること、(3)打ち手の立案」の3つのステップが必要と言われますが、多くの人が「(3)打ち手の立案」しか取り組めていないのと同様ですね。 「(1)そもそも問題って何だっけ?」「(2)それがなぜ起こったんだっけ?」という2点にフォーカスできていないんです。
曽山 同感です。私がコミュ力不足に悩む社員に投げかけているのは「何ができればOKなの?」という問いです。これを「OKゴール」と呼んでいます。
Shin 悩んでいることについて、「どうなれば解決できたと言えるのか」ということを考えさせるのですね。
曽山 はい。部下にこの問いを投げかけると、「上司との関係が上手くいかない」「プレゼンでいつも緊張してしまう」などの要素が出てきます。大切なのは、「OKゴール」を深掘りしてそこに明確にアプローチすることです。そこで、例えば上司との関係性で悩んでいるならば、「あなたがOKと思う上司との関係性は?」とさらに深掘りすると、「実はこういうことで困っていて」といった具体的な問題が出てきます。
Shin なるほど。そうして表面的な悩みや欲求の奥にある、根本的な問題を掘り下げていくのですね。
曽山 そうです。コミュニケーション能力向上についても、まずはそこから始めることをオススメします。...