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緑の山々を走り抜けるトイトレイン。世界遺産カールカー・シムラー鉄道

キナウル・スピティの旅2デリー・サライ・ロイーラ駅、朝の5時。あたりはまだ真っ暗ですが、駅を出入りする列車の数は結構多く、大勢の人々が荷物を携えてプラットフォームを行き来しています。この日はここから列車に乗って、北へ。まずはハリヤーナー州の街カールカーを目指します。プラットフォームでチャイやスナックを売っている売店のおじさん。毎朝のことなんでしょうけど、やっぱり眠そうです(笑)。カールカーへと向かう列車の機関車が、プラットフォームに到着しました。ヒマラヤン・クイーン・エクスプレスという名前だそうです。列車が出発する直前になって、雨が降ってきました。雨しずくの流れる窓ガラスの向こうを、景色が飛ぶように流れていきます。カールカーまで、約5時間半の旅です。正午少し前に到着したカールカーの駅で、次の列車に乗り換えます。待ち構えていたのは、とてもこぢんまりとした列車。ヒマーチャル・プラデーシュ州のシムラーまでを結ぶ山岳鉄道、カールカー・シムラー鉄道です。ごつい体格の作業員さんたちが、機関車と客車を連結させ、水の供給パイプなどをつなぎ合わせていました。なかなかにアナログな作業……。険しい山間部を走るカールカー・シムラー鉄道は、他の鉄道の半分程度のレール幅のナローゲージを採用しています。ナローゲージ上を走る列車は、その車体の小ぶりさから「トイトレイン」と呼ばれています。この鉄道の歴史は古く、敷設されたのは1903年。2003年には「インドの山岳鉄道群」の一つとして、世界遺産に拡大登録されました。小さなトイトレインは、大勢の予約客でみるみる満杯に。いよいよ出発。シムラーまでは、約6時間の道のりです。標高差約1420メートル、総延長96キロの区間内には、トンネルが102カ所、アーチ状の橋は886カ所もあるそうです。列車は右に左に車体を傾けながら、緑豊かな山の中を駆け上がっていきます。狭い車内では、乗客たちが文字通り膝を突き合わせながら、トイトレインの旅を楽しんでいます。トンネルを通過するたびにヒューヒューと歓声が上がるほど(笑)。向かいの席に座っていた男の子たちが僕のカメラを見て、写真を撮らせてくれました。ちなみに右の男の子は左の子の膝の上に座っています。それほど車内は狭いのです。ところどころに、小さな駅があります。プラットフォームから笑顔で手を振ってくれる人たちも大勢いました。カールカー・シムラー鉄道の区間内には、ソーランなどのかなり大きな街もあります。インドの他の地域とはかなり雰囲気の違うそれらの街並を通り抜け、列車はシムラーへと向かいます。予定より20分ほど遅れて(インドの鉄道にしてはとても優秀な方です)、列車はシムラーの駅に到着しました。以前から一度乗ってみたかった、世界遺産の山岳鉄道。とても楽しく、味わい深い鉄道旅でした。◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto 著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。 http://ymtk.jp/ladakh/

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