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メルセデス・ベンツS560 4MATICロング(4WD/9AT)【試乗記】

ちょっと物足りない

「メルセデス・ベンツSクラス」が、マイナーチェンジで最新型へとアップデート。当代随一のラグジュアリーサルーンは、新たな先進装備を得てどこまで進化したのか? フラッグシップモデルに対するゆえの厳しい目をもってテストした。

豹変するメルセデス

メルセデス・ベンツに乗ると思い出すのは「君子は豹変(ひょうへん)す」という故事成語だ。考え方や態度が急に変わることを非難する意味で使われることも多いが、辞書によれば本来の意味は過ちを認めるのをためらわないということ。過ちがあればすみやかにそれを改め、鮮やかに面目を一新することをいう、とある。まさしくこれが君子メルセデスの歴史を思い起こさせるのだ。

かつてメルセデスの試乗会ではクルマの形や機能についての疑問を本社エンジニアに恐る恐る質問するや、「お若いから知らないのも無理ありませんが」というような表情ながら、事細かに理論武装したエンジニア氏に完膚なきまで論破されたものだ。ところがそのうちに経験を積んでくると、「自動車とは須(すべから)くこうあるべし」と頑固に持論を押し通すかと思えば、そんなこと言ったっけ? という具合にころりと前言を翻したりすることに気づいた。「Eクラス」の名を初めて冠した「W124」や「190」シリーズの頃を思い出せば、シングルブレードワイパーや左右で形状の異なるサイドミラーなど、これぞ最善と主張しながらいつの間にか姿を消したいくつもの特徴を挙げることができる。

現行Sクラスである「W222」が登場した際にも同様の印象を受けた。政府の首脳や企業のトップなどVIP用と世間が認めているフォーマルで正統派の大型サルーンが、堅苦しさをすっかり拭い去ってこれほどまでに華やかで艶(あで)やかなラグジュアリーサルーンに変身できるのか、と驚いたものだ。しかも豪華で先進安全装備に抜かりないだけでなく、実用面での完成度の高さも抜群だった。昨年の春、東京から下北半島の北東端尻屋崎に至り、十和田湖、八幡平を抜けて帰京する往復およそ1800kmの道のりを、「S300h」と「S550e」の2台のSクラスを連ねて走る機会があったのだが、一気に本州の外れまで駆けてもまったく疲れを感じない出来栄えに感心したものだ。という具合に、2013年にモデルチェンジした現行Sクラスが当代随一のラグジュアリーサルーンであることに疑う余地はないのだが、もともとエースで4番のスタープレーヤーがマイナーチェンジとはいえ新型になったからには、シングルヒットぐらいでは世の中は納得しない。圧倒的であることを求められるのがSクラスの宿命である。...

提供元:webCG

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