これがイチオシ
「スズキ・スイフト」に、独自のフルハイブリッドシステムが搭載された新モデルが登場。2ペダル自動MTとモーターを組み合わせたユニークなパワートレインの見どころと、他のグレードよりさらに上質感を増したドライブフィールを報告する。
チーフエンジニア オススメの一品
今年1月、新型スイフト発売直後の試乗会場で、チーフエンジニアの小堀昌雄さんにインタビューしたとき、「小堀さんの個人的イチオシのスイフトはどれですか?」といった趣旨の質問をした。スイフトには当時すでに「RS」系と標準系の2シリーズがあり、しかも動力源はRSで3種、標準系で2種、さらに1.2リッターエンジンには2種の変速機があって……と、なかなか大所帯だったからだ。 そのときの小堀さんの反応は「ええ、まあ、どうでしょう……」と煮え切らないもので、結局のところ、ハッキリとしたお答えはいただけなかった。
それから、ときは流れて今年の7月、スイフトに第4のパワートレイン、いわゆるフルハイブリッドが追加されて、ふたたび試乗会が催された。スズキ自身はこのシステムを「ハイブリッド」と呼称するが、既存のマイルドハイブリッドと区別するため、ここではあえて“フル”ハイブリッドと呼ぶことにする。
その会場で小堀さんは「あのときの質問の答えはこれだったんです」とおっしゃった。 正直いうと、あの質問にさほど強い意図はなく、芸能人やスポーツ選手のインタビューでよくある「最後にファンの皆さんにひと言」みたいな軽い締め質問のつもりだった。だから、私は質問したことすら忘れていた(失礼)のだが、小堀さんはわざわざ私を見つけて、半年越しに答えてくださったわけだ。小堀さんにかぎらず、エンジニアというのは真面目……というか、何事にもキッチリと結論を出す人たちである。
さて、これまでスイフト最強のパワートレインだった1リッターターボがRS専用なのに対して、このフルハイブリッドは標準系専用である。これで両シリーズに3種類ずつの動力源がそろうこととなり、同時に(非スポーツの)スイフトでは、このフルハイブリッドが最高価格、最上級となる。...