何かが引っかかる
スクーターのようなボディーに、オフロードも行けそうなタイヤとホイール。そしてナナハンクラスの大型エンジン。個性的なホンダの“アドベンチャーモデル”「X-ADV」とはどんなオートバイなのか? その走りをリポートする。
街で生かせるクロスオーバー
120万円以上もする製品を紹介するにあたり、落としどころが見えないまま口を開くのは無責任な気がする。けれどこのX-ADV、ここに至ってもまだ向き合い方がわからないのです。
全体的なフォルムから察するにスクーターのようですが、ホンダの車種分類では「ロードスポーツ」に属しています。そしてまた突然変異の新種のようにも見えますが、実は同じくスクーター然としながらロードスポーツに属する「インテグラ」(生産終了)ありきでもあるのです。
なぜそう言えるかというと、水冷4ストロークOHC 4バルブ直列2気筒の745tエンジンと、ホンダの独自技術であるDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせたパワーユニットが共通しているから。駆動方式でチェーンドライブを採用している点も同じです。
ただし、ルックスはまったく別物。車名にあるADVはアドベンチャーを意味しているそうです。二輪用語におけるアドベンチャーは、ラリーレイドにエントリーするような長距離移動を念頭に置いたオフロードモデルのこと。ホンダの資料に記載されたアドベンチャーモデルの特徴を、要約して引用します。
「未舗装路走行を得意とするアドベンチャーモデルは、シート高が高くアップライトなライディングポジションで渋滞時の見通しも良く、路面の凹凸を吸収しやすい長いストロークのサスペンションは荒れた舗装でも快適に走行できる、市街地にもマッチした特徴も併せ持つ」
つまりX-ADVという名前には、アドベンチャーモデルの全方向的にたけた走行特性を譲り受けた、クロス・アドベンチャーという意味が込められているのだと解釈して間違いないでしょう。メーカーに確認していませんが。...