大人のミドエンジンフェラーリ
ターボエンジンを搭載する新時代のV8ミドシップフェラーリ、「488GTB」に試乗。今やピークパワーが670psに達した跳ね馬の自慢は、ここ一番の速さだけではなかった。日常をさらりとスマートにこなす、大人な振る舞いをも身につけていた。
4.5自然吸気から3.9ターボへ
夜、webCG編集部のTさんが488GTBを届けてくれた。どんな音がするんだろうと楽しみにしていたのに、家にいてもそれらしい音は聴こえなかった。「ターボですから」。Tさんがそう言った。
4568mmの全長は5ナンバーサイズだが、幅はざっと2mに近い。拙宅の狭い駐車場に入れるのは、気を使う。リアカメラはあるが、計器盤のモニターは小さい。なによりも広角レンズが地上高20cmの低い位置に付いているため、すごいスピードで流れる地面ばかり映る。目がついていかない。さすがフェラーリ! ってことか。
知り合いに488GTBオーナーがひとりいる。その人は庭に買い集めた仏像をディスプレイすることが趣味で、488GTBのほかには「ベントレー・フライングスパー」と「モーガン」と「トヨタ・センチュリー」と「アルファード」をお持ちだ。フェラーリは本来そういうところで暮らすクルマである。
2年前、フィオラーノで開かれた488GTBの発表試乗会に参加しているTさんから、簡単なコックピットドリルを受ける。V8ミドシップフェラーリとして、前作「458」との最大の違いは、エンジンが自然吸気4.5リッターからツインターボの3.9リッターに変わったことである。
しかし、走行モードを替えるマネッティーノをはじめ、ステアリングやセンターパネルにある操作類のレイアウトや使い勝手は変わっていない。日本人の耳にイタリア語の響きはすごくかっこよく、ときに意味ありげに響くが、マネッティーノ“manettino”とは「手元スイッチ」くらいの意味である。...