付き合うほどにほれぼれ
「スポーツ」や「イヴォーク」に次ぐ新たなレンジローバーファミリーとして生まれた、ラグジュアリーSUV「レンジローバー ヴェラール」。優美なスタイリングに秘められた走りの質を、3リッターV6ガソリンモデルで吟味した。
予想外のコーナリング
これはかつて“ジャギュア”と呼ばれた大型サルーンを駆っているようではないか。軽井沢の白糸ハイランドウェイという森の中のワインディングロードをドライブしながら筆者はそう思った。
乗り心地がしなやかで、静かで快適。同じプラットフォームの「ジャガーFペース」よりも全体的に洗練されている。装備の違いもあるだろうとはいえ、同じV6エンジン搭載車なのに車重がFペースより80kg重い。少なくとも遮音材がたっぷり使われていることは実感できる。3リッターV6スーパーチャージャーの咆哮(ほうこう)が抑えられているから。もちろん、エキゾーストシステムも異なるにちがいない。喉をおさえるようにして、最高出力380psと最大トルク450Nmを生み出す。息づかいに猛獣の片りんを残しながら。
レンジローバー ヴェラールは、SUVとは思えぬハンドリングの持ち主である。穏やかな初期ロールは許すけれど、それ自体実に自然で、そこからさらに深々とロールしてもよいような足まわりなのに、不思議と穏やかなロールのまま旋回を終えてしまう。キツネにつままれたような心持ちがする。
電子制御エアサスペンションの完璧なコントロール具合に加えて、「トルクベクタリングバイブレーキ」の恩恵ではないか、という推測が成り立つ。内輪側にブレーキをかけることで旋回運動を助けるシステムである。急な下り坂で一定の速度を自動的に維持する「ヒルディセントコントロール」をいち早く採用したランドローバーにとって、ブレーキのコントロールはお手の物だろう。...